長野県勢選手紹介(2)氷上の戦い 2大会ぶり、闘志

2018年3月8日
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 平昌パラリンピックのパラアイスホッケー代表選手十七人のうち、七人が岡谷市を練習拠点とする長野サンダーバーズに所属する。軽井沢町出身で東京アイスバーンズのDF上原大祐選手を加え、ほぼ半数の八人が県内ゆかりの選手だ。

 パラアイスホッケーは、「スレッジ」と呼ばれるスケート刃二枚をつけた専用そりに乗って激しくぶつかり合う。左右の手に持ったスティックでパックを運び、相手ゴールにたたき込む。「氷上の格闘技」とも呼ばれる。

 長野サンダーバーズ所属の選手七人のうち、最年長のGK福島忍選手とGK望月和哉選手は静岡県、FW堀江航選手は東京都の在住。残る四人が県内出身だ。チームの週一回の練習は午前六時から。競技施設の事情などから早朝になり、二年前までは午前二〜三時開始だった。

 厳しい環境を強いられる選手たち。一九九八年長野大会から五回目の出場となるFW吉川守選手は「競技をやめていった選手も少なくない」と明かす。南信地域でパラリンピックを目指す選手が自分だけの時期もあり「引退した選手の悔しさを引き継ぎ、力を出したい」と闘志を燃やす。

 前回のソチ大会に日本は出られず、今回初出場となるFW熊谷昌治選手は三十三歳の時に事故で右足を失った。「四十歳すぎのこの年齢で目標が持てる。挑戦者として全力でぶつかる」と意気込む。

 日本代表の平均年齢は約四十二歳。長野大会で代表に選ばれた県障がい者スポーツ協会の地域コーディネーター加藤正さん(49)=伊那市=は「ベテランの高い技術と動じない精神力、若手の勢いがうまくかみ合えば十分戦える」とみる。「二十年超の経験でチームを落ち着かせてくれる吉川選手は持ち前の器用さで、いいパスを出せる。得点力のある熊谷選手は好機をものにしてほしい」と期待する。

 代表チームは一月、平昌大会に出場する三カ国と長野市で対戦。五戦全敗を喫した。加藤さんは「他国の若手とのスタミナや体格の差が出た」と分析。代表チームは相手の攻撃を防ぎながら好機を待ち、攻めに転じる守備重視のスタイルだとして「泥くさく駆け回れる」最年少のFW塩谷吉寛選手らが守備で活躍できると指摘する。

 十日の初戦は、一月に敗れた韓国戦。熊谷選手は「大アウェーだが、多くの人からもらった熱い声援を力に変えたい」と気合十分だ。

 (渡辺陽太郎、伊勢村優樹)

中日新聞 東京新聞

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