
東京の高校生、講演聴き日の丸 アルペン座位・夏目選手へ
2018年3月8日
夏目選手の講演を聴いた生徒らが署名した日の丸を掲げる丸山さん(左)=白馬村の対岳館で |
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昭和高の1年生らに、自身の体験などを語る夏目選手=白馬村内で |
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九日に開幕する平昌(ピョンチャン)パラリンピックで、アルペンスキー座位に出場する白馬村の夏目堅司選手(44)=RDS=に、東京都立昭和高(昭島市)の一年生三百二十人が、連署した日の丸を贈った。昨年五月末ごろに白馬で合宿した際に夏目選手の講演を聴き、障害に向き合って競技に打ち込む生き方を胸に刻んだ。日の丸には「限界突破」と大きく書き、世界の大舞台での活躍に期待を込めた。
昭和高の合宿は、入学したての一年生同士が交流を深めるため、二泊三日の日程で毎年実施。夏目選手には、約十年前からほぼ毎年、講演を頼んでいる。
合宿の下見に来た教諭が障害者スキー大会の準備を見て関心を持ち、選手の講演を企画したことがきっかけ。白馬八方尾根スキースクールの職員だった丸山徹也さん(55)=白馬村北城=が講師の推薦を頼まれ、夏目選手を推した。
丸山さんは「講演を通じて、障害を負い絶望から立ち直ったいきさつを振り返ることで、アスリートとして飛躍するきっかけになればと考えた」と言う。
夏目選手が障害を負ったのは、同スクールの指導員だった二〇〇四年四月に不慮の事故で背骨を折ったため。講師を依頼されたのは、チェアスキーを始め、バンクーバー・パラリンピック(二〇一〇年)への出場を目指して練習に励んでいたときだった。
夏目選手は、自身の経験が生徒らの糧になるならと快諾。「今あるもの、使えるものは使おう」と、チェアスキーに取り組んでいることを毎年、語り続けた。
今年の一年生は、合宿後に夏目選手に感想文を届けた。丸山さんによると、「逆境の中での戦いは格好良い」「つらく大変な事があっても乗り越え、次に進む強さを知った」「自分が何の不自由もなく過ごしていることを感謝したい」などとつづられていた。
生徒らが名前を連署した日の丸は、バンクーバーから二回続けてパラリンピックに出場した際にも贈っており、今回で三回目。現地で観戦する丸山さんが会場で掲げる。
丸山さんは「生徒らが、現地にいる気持ちで応援していることを伝える」と言い、昭和高の西野良仁副校長(58)は「夏目選手には日頃の練習の成果を思う存分、発揮してほしい」と話した。
(林啓太)

