<平昌に挑む>レジェンド超え誓う 距離・川除大輝

2018年3月8日

初出場で「入賞を目指したい」と意気込む川除大輝=北海道東川町で

写真

 いつかエースの座を奪う−。日本選手団最年少の富山県立雄山(おやま)高校2年、川除(かわよけ)大輝(17)=富山市=は、ノルディックスキーの距離で6大会連続出場の「レジェンド」新田佳浩(37)=東京都江東区=の背中を追い続けてきた。

 川除は最近、遠征や合宿から戻るたびに父親の大輔さん(46)に「もうすぐ抜けるかもしれない」と口にするようになった。昨年12月にあったワールドカップ(W杯)のロング(20キロ)・クラシカルでは、新田が8位、川除が10位だった。

 新田は2010年カナダ・バンクーバー大会で金メダル2つを獲得するなど、20年以上も世界の第一線に立つ。そんな大エースも川除の台頭に刺激を受けて、「もっと成長しようと、モチベーションになっている」と語る。

 川除は生まれつき、両手、両足の指が一部ない。小学1年の時、いとこに誘われて地元のスポーツクラブ「猿倉ジュニアスポーツクラブ」に入り、毎冬、スキーに打ち込んだ。

 小学4年だった10年5月に、新潟県のスキー場で新田と出会った。川除はバンクーバー大会の金メダルを首に掛けてもらい、トップアスリートへの決意をあらたにした。

 中学2年ごろから、障害者スキーの大会に本格的に参戦した。当時、ワールドカップ旭川大会に順位の付かないオープン参加で出場。「思っていた以上に結果が出なくて、やっぱり世界はすごい」と実感した。第一線で戦うために、新田と同じチームに入り、厳しい練習を重ねた。現在は高校のスキー部にも所属。2月の全国高校総体、国体に出場するなど、健常者の大会でも全国レベルだ。

 川除は新田について「今はあこがれではなく、目標の存在になった」と力強く語る。かつて遠くにあったレジェンドの背中は目前に迫っている。平昌では「入賞を目指したい」と意気込むが、最大の目標は雪原で新田を追い抜くことだ。 (田井勇輝)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索