<平昌便り> さすらいのサムライ
2018年2月25日
よろいかぶとをまとった侍(中)と記念写真を撮る外国人の観客ら |
「サムラーイ、サムラーイ」。ノルディックスキー・ジャンプ男子の試合直前、会場で片言の日本語が聞こえた。五輪出場八回のレジェンド、葛西紀明選手(土屋ホーム)のことかと思ったら違った。
カメラを手にした外国人の輪をかき分けて行くと、よろいかぶとをまとった日本の国旗を持つ男性。ゴーグルをかけているのはゲレンデ仕様だからか。
氷点下一〇度の寒さの中で即席の写真撮影会に応じていた。話し掛けても返事はない。無言で耐える姿は侍のかがみだった。少し目を離した隙に姿を消し、再び現れることはなかった。
応援はしなくて良かったのだろうか。
(平昌で、鈴鹿雄大、写真も)