<カーリング>神経戦 笑顔で制す 「新たな歴史」最後は涙

2018年2月25日

日本−英国 第9エンド、ショットを放つ藤沢。左は吉田夕、右は鈴木=共同

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 女子3位決定戦でLS北見の日本が英国に5−3で逆転勝ちし、男女を通じて初のメダルとなる「銅」を獲得した。

 日本は2−3の第8エンドに1点を挙げて追い付くと、第9エンドに1点をスチールして勝ち越し。第10エンドもスチールして、2014年ソチ冬季五輪3位の英国を破った。

 男子決勝では、06年トリノ五輪3位の米国がスウェーデンを10−7で下し、初優勝を果たした。5−5の第8エンドに大量5点を挙げて大勢を決めた。昨年の世界選手権2位のスウェーデンは1次リーグを1位で突破したが、初制覇はならなかった。 (共同)

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 最終第10エンド。中心に一番近い位置に英国の赤の石。その周りに日本の黄色。英国は最後の一投で、2点を奪って逆転勝ちを決めるショットを放った。だが狙いがそれ、逆に黄色が中心にわずかに寄る。日本のメダル獲得が決定。チーム創設者の本橋らも加わり輪になって喜んだ。

 スキップの藤沢は「ちょっと信じられない。本当に、やったんだという気持ち」。吉田知も「何があるか分からないのがカーリング。味方してくれた氷の神様に感謝したい」と満面の笑みを浮かべた。

 試合は互いに守備的に進んだ。不利な先攻で相手に1点だけを取らせ、次のエンドを有利な後攻で攻める。前半はその繰り返し。一つのミスも許されない。藤沢は「もともと攻撃的な英国が、今までにないくらい守備的な作戦をしてきた」と振り返る。

 第5エンドの後の休憩時間に、リンドコーチが「相手に流されず、チャンスがあれば攻めていくことを忘れるな」と指示を送ると、均衡が破れた。終盤の第9エンド。先攻の日本はスキップ藤沢の最後の一投で、相手の赤い石の裏に自らの黄色の石を置き、重圧をかける。英国の最後の石はその黄色の石をはじき出せない。不利な日本が点を奪う「スチール」に成功し、この試合で初めてリードした。

 第10エンド。自らの石を全て投げ終わり、最後の英国のショットを待つ間、藤沢は「相手にとって簡単なショットをさせちゃったと、ちょっと後悔していた」。だが奇跡は起きた。吉田知は「新しい歴史だよと言われて、実感が湧いてきた」。ゼロからチームを立ち上げた本橋は「コーチ、選手、応援してくれた人。全員にありがとうと言いたい」と大粒の涙を流した。

 常にポジティブに、笑顔でコミュニケーションを欠かさない日本。我慢の試合となったこの日も、ずっと前向きだった。吉田知は「ラッキーなことは何一つなく、しっかりやったからこそ最後にこういう結果になったと思う」。気持ちを込めて投げ抜き、日本のカーリング史上初のメダルに、ついにたどりついた。 (江陵・上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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