<カーリング>カー娘、まだ銅がある! 土壇場で追いつくも…韓国に惜敗

2018年2月24日

日本−韓国 第11エンド、ガッツポーズする韓国選手と、肩を落とす(右から)藤沢、吉田知=江陵で(田中久雄撮影)

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 江陵カーリングセンターで開催された女子準決勝でLS北見の日本は韓国に延長の末に7−8で敗れ、24日の3位決定戦に回った。男女を通じて初の表彰台を懸けて英国と対戦する。1次リーグ4位の日本は同1位の韓国に対し、4−7の第9エンドに2点を挙げ、第10エンドに1点をスチールして追い付いたが、延長の第11エンドで力尽きた。25日の決勝は、準決勝で英国を10−5で下したスウェーデンと韓国の顔合わせ。

 最後は眼鏡先輩の意地に屈した。同点で迎えた延長第11エンドだ。3人がかりでスイープされた韓国の石が日本の石より内側にピタリと止まる。抱き合い、泣いて喜ぶ韓国チームの隣で、藤沢は悔しそうな表情で惜敗の事実を受け止めていた。金メダルへの夢が絶たれた瞬間だった。

 「悔しいです。言葉にするならそのひと言」

 「かわいい系」の藤沢と、韓国では「眼鏡先輩」の名で親しまれている「きれい系」の金ウンジョンとの美女スキップ対決。最初に意地を見せたのは藤沢だった。第10エンド。藤沢の最終投はハウスの中央にある日本の石を守るように絶妙な位置に石を置いた。金ウンジョンにプレッシャーをかけ、ミスを誘発しての同点劇だ。再び不利な先攻で迎えた延長第11エンド。今度も同じような状況をつくったが、意地を見せられた。

 「11エンドの(韓国の)ラストは相当プレッシャーがかかるショット。決めたスキップの選手に拍手ですね」

 「そだねー」の甲高い声と底抜けの明るさで注目を集めるLS北見。全員が北海道北見市出身の仲良し軍団だが、それぞれ平たんな道のりだったわけじゃない。

 チームを引っ張る藤沢と吉田知の競技人生には、悔恨の体験が刻まれている。吉田知は「私たちは『負け』から強くなった」という。

 藤沢は、10代からチーム最終2投を担う重責を背負い続けてきた。得点に直結する一投の失敗は、エンドや試合を落とす失意と隣り合わせ。ソチ五輪前の国内大会や昨年の日本選手権は、重圧に押しつぶされた。

 大事なところで勝てない自分を変えるため、昨春から専門家に精神面の指導を仰いだ。試合前には鏡と正対して表情を確認する。「顔がこわばっていないか、笑えているかを見る」。このルーティンで、心のバランスを取れるようになった。

 この日も好ショットを連発したサードの吉田知はソチ五輪に続く2度目の五輪。北海道銀行のメンバーだった前回は、1次リーグ敗退後、戦力外通告を受けていた。

 「22歳の私にとって、戦力にならないと報道されたことがショックで。すごく恥ずかしかった」。手を差し伸べたのがLS北見を立ち上げていた本橋だった。あれから4年、強くなって大舞台に戻ってきていた。

 「五輪という舞台で3位決定戦ができるなんて思ってもいなかった。ここまでこれたことに自信と誇りを持ってベストを尽くしたい」。控室で涙を流した藤沢が気合を入れれば、控えの本橋も「きょうの試合前も『ステイ・ポジティブ』という言葉をみんなにかけた。あしたもそれを忘れずにラスト1投まで戦いたい」。銅メダルをかけた戦いの相手は1次リーグで敗れている英国。今度は笑って終わってみせる。(兼田康次)

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