夢支え続けた家族へ届けた熱戦 複合団体・渡部兄弟がチームけん引

2018年2月23日

 【平昌(ピョンチャン)=上條憲也】二十二日の平昌五輪ノルディックスキー複合団体で四位となった日本。十四日の個人ノーマルヒルで銀メダルを手にしたエース格の渡部暁斗選手(29)、弟の善斗選手(26)=いずれも北野建設=は、前回ソチ大会に続いて兄弟出場を果たした。チームを引っ張り、熱戦を繰り広げたが、最後は無念の力負けとなった。

 暁斗選手は小学三年のときに地元で見た長野五輪でジャンプ選手にあこがれ、中学から複合を始めた。三つ年下の善斗選手は、空手など他競技に興味を持ちながら、いつしか兄と同じ道に進んだ。

 長野県白馬村の自宅では、すぐにソファが壊れ、いくつ替わったか分からない。兄弟がジャンプの練習と言って、何度も飛び乗ったからだ。父修さん(62)が禁止しても、兄弟はジャンプを繰り返した。

 暁斗選手は高校二年で二〇〇六年トリノ五輪に出場。善斗選手も高校一年で全国大会に優勝し、道具の購入や海外遠征などで家計の負担は増した。だが修さんは「子どもたちが真剣に取り組んでいるんだから」と兄弟の背中を押した。

 この日、修さんが会場で見守る中、前半のジャンプは三位。だが、後半距離は第一走の善斗選手が他国をとらえられず、最終四走の暁斗選手も追いつけなかった。「先を見据えて、未来が変わるように最善の選択をしながら、今まで以上の選手になれれば」と暁斗選手。善斗選手は「この結果を真摯(しんし)に受け止め、次に進みたい」と前を向いた。

 暁斗選手の妻で、フリースタイルスキー女子ハーフパイプに出場した由梨恵選手(29)は、平昌入りしてから初めて夫に会い、試合前「頑張って」と声をかけた。夫は五輪後、欧州遠征に旅立つ予定。ゆっくり二人で過ごす時間はなさそうだが、「ひとまず『お疲れさま』と言いたい。できたら一緒に焼き肉を食べたい」と頑張りをねぎらった。

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索