渡部兄弟へ「自分のジャンプを」 地元・白馬で小中時代のコーチ声援

2018年2月21日

村役場で渡部兄弟を応援する地元の人たち=白馬村で

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PVで教え子の暁斗選手の前半飛躍の結果に驚く桜井さん=白馬村で

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 平昌五輪のノルディックスキー複合・個人ラージヒル(LH)に出場した白馬村出身の渡部暁斗選手と弟の善斗選手のパブリックビューイング(PV)が二十日、村役場であった。兄弟の白馬高スキー部の先輩で、小中学生だった頃に指導した桜井峯久さん(48)=同村北城=も駆けつけ、エールを送った。

 桜井さんは両手にスティックバルーンを握り、PVの大画面を硬い表情で見つめていた。暁斗選手が前半飛躍で首位に立つ大ジャンプを決めた場面が映し出されると顔をほころばせ、「暁斗のベストのジャンプができた」と声を弾ませた。

 桜井さんはジャンプを中学で始めて大学でも続け、国体入賞経験もある。暁斗選手を指導したのは村スキークラブのジャンプ専任コーチだった時だ。

 暁斗選手が練習で不調の時。桜井さんが「どうしてなの」と原因を問うと、暁斗選手は「お尻が下がって」と答えた。桜井さんの分析と同じだった。

暁斗選手(右)と並んでほほ笑む桜井さん=白馬村で

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 桜井さんは、常時五〜十人ほどの子を見ていて「暁斗より飛べる子は何人もいた」という。でも、「暁斗は自身を客観的に見る力が優れていた」と振り返る。

 暁斗選手の弟善斗選手はジャンプで二十位。桜井さんは小中学生の善斗選手も指導した。個人ノーマルヒルで二大会連続の銀メダルを獲得した兄に比べ、善斗選手が注目されないことが残念だという。

 桜井さんは三年ほど前に善斗選手と会った時、「暁斗と比べられて、おまえも大変だな」とねぎらった。すると善斗選手は、どこか吹っ切れない面持ちで「(暁斗選手を)兄弟とは思ってませんから」と応えたという。

 渡部兄弟は一緒にマウンテンバイクで出掛けるなど、仲が良いことで知られる。ただ、桜井さんは「善斗は兄の活躍を意識し呪縛されているのでは。自分のジャンプを確立すれば、もっと強くなるはず」とエールを送る。

 二十二日には、複合男子団体LHがあり、渡部兄弟が出場する見通しだ。桜井さんは「暁斗は心配してない。日本勢がメダルを狙えるかどうかは、善斗のジャンプ次第だ」と、健闘を祈っている。

 (林啓太)

中日新聞 東京新聞

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