<カーリング>4強へ今夜スイス戦 地元に結成8年 「私たちらしく」磨き切り開く

2018年2月21日

本番会場で練習するカーリング女子日本代表LS北見の本橋麻里(左から2人目)ら=12日(共同)

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 「ここに(ストーン)置くのどうかな」と1人が言えば、「そだねー」と他のメンバーが応じる。いつも声を掛け合い、良いショットが決まればハイタッチで笑顔があふれる。女子の日本代表、LS北見は21日、準決勝進出をかけて1次リーグ最終のスイス戦に臨む。

 主将の本橋麻里が、2010年バンクーバー五輪に出場したチーム青森を離れ、LS北見を発足させたのはその年の夏。きっかけは五輪の選手村で見た光景だった。

 トリノ、バンクーバー五輪で2連覇したスウェーデンチームの選手が、子どもを連れて家族とのんびり食事していた。勝つことを至上命令として集められた日本チームの選手にそんな余裕はなかった。「人生を輝かせる手段としてカーリングをやっている」。すべてに「負けた」と感じた。

 結婚や出産があっても「自分たちらしく競技を続けられるチーム」を目指し、1人で選手集めを始めた。スポンサーを付けようとして周囲から「クラブチームらしく(控えめに)やったら」と言われたことも。地道に支援してくれる企業を探して歩いた。

 14年春、北海道銀行チームでソチ五輪に出た吉田知那美を誘い、15年には中部電力にいた藤沢五月が加入した。実力者ながら五輪出場を逃してきた藤沢は「生活面では安定し、恵まれた環境だった。それに甘えていた」。ハングリー精神を求めた。

 全員が同郷。専属スタッフもおらず、大会への参加申請や練習場所の確保は選手が分担する。実業団ではないため仕事との両立も必要。企業自体が少ない地元で、理解を得られる職場を探した。

 発足から8年。LS北見は、大舞台にたどりつき、1次リーグではスウェーデンにも勝った。日本チーム初の五輪メダルへと向かう一戦を前に、藤沢は「自分たちらしい試合をしたい」と力を込めた。 (江陵・安福晋一郎)

中日新聞 東京新聞

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