渡部暁、飛躍首位から暗転 複合個人ラージヒル

2018年2月21日

個人ラージヒル後半距離のゴール後、倒れ込む渡部暁斗=田中久雄撮影

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 個人ラージヒルで渡部暁斗(北野建設)は5位に終わった。前半飛躍(ヒルサイズ=HS142メートル)を134メートルの首位で折り返したが、後半距離(10キロ)で逆転を許し、2位だった個人ノーマルヒルに続くメダルを逃した。

 表彰台はドイツ勢が占めた。前半5位のヨハネス・ルゼックが初優勝し、ファビアン・リースレが2位、個人ノーマルヒルを制したエリック・フレンツェルが3位となった。ノルディック複合の表彰台独占は1936年五輪のノルウェー以来で82年ぶり。

 永井秀昭(岐阜日野自動車)が12位、山元豪(ダイチ)が16位、渡部善斗(北野建設)は20位だった。 (共同)

◆距離ロングスパート力尽き

 ノーマルヒルと同じ、ゴール手前の上り坂が勝負を分けた。そこに至る直前、併走選手と板が重なってバランスを崩し、脚が止まる不運が渡部暁を襲った。先頭争いから一気に集団の最後尾へ。前半から飛ばしていた分、「あそこで限界が来ていた。バランスを崩さなくても4位か5位くらいじゃないですかね。金メダルが遠かったな」。レース後はさばさばと振り返りながら、無念さをにじませた。

 前半飛躍でトップに立った。とはいえ、楽な展開にならないことも分かっていた。30秒前後の差で追い掛けてきたのは、距離に強いドイツ勢3人。案の定、ライバルたちは風の抵抗を避けるように先頭を入れ替わりながら差を詰め、渡部暁に追い付いた。

 しばらく集団で滑り、だれも仕掛けそうにない。レース前、河野孝典ヘッドコーチと練った作戦は「金メダルをとるなら、予想外のことをしないとチャンスはない」。14日のノーマルヒルでも、ラストスパートを仕掛ける位置をめぐって反省があった。覚悟を決めて、渡部暁はロングスパートの勝負に。それでも差をつけられず、終盤に逆転を許した。「あそこで仕掛けて最後まで持つような走力があれば」と唇をかんだ。

 1990年代前半、日本のノルディック複合陣は五輪で2度の団体金メダルなど黄金期を誇った。だが、飛躍が得意な日本を狙い撃ちするかのようなルール変更で、世界との競争力は一気に低下した。前回ソチ五輪、日本勢で20年ぶりに表彰台に立ち、ようやく低迷期を終わらせたのが渡部暁だったが、複合日本で個人では初となる金メダルはまたも届かず。「頂上は見えているけど、なかなか登り方が分からない」

 残すは団体。「ジャンプは調子がいいので、団体は良い走りで頑張りたい」。最後まであきらめるつもりはない。

 (平昌・上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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