不屈葛西「4年後、絶対出る」 8度目挑戦、メダルならず

2018年2月20日

ジャンプ団体の飛躍を終え、笑顔で記者の質問に答える葛西紀明選手=19日、平昌で(潟沼義樹撮影)

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 8度目の挑戦が終わった。平昌で冬季五輪最多出場記録を塗り替えたノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(45)=土屋ホーム=は、団体で3番手を担い、今大会最後の種目の1回目は124メートル、2回目は125メートルに着地。6位に終わった試合後は「4年後、絶対出ます」と宣言した。初出場した1992年アルベールビル五輪から26年。金メダルの夢を追い、不屈の心と鋼の体で飛び続ける。

 世間の常識からすれば限界を超えている。それでも「血へどを吐くようなトレーニングをしてきた」と自負する肉体への自信が揺らいだことはない。「心技体」ではなく「心体技」。磨いた心と体の後に技がついてくる。それが信条だ。

 ワールドカップ(W杯)で数々の最年長記録を更新し「レジェンド(伝説)」と呼ばれる大ベテランの競技人生は「40歳になるまで悔しいことばかり」だった。金メダルに輝いた団体のメンバーから漏れた98年長野五輪の屈辱、所属先のスキー部の廃部も2度経験した。2002年ソルトレークシティー五輪は個人2種目で2回目にさえ進めず「もうこれは駄目かな」との思いもよぎった。

 ただ、諦めはしなかった。ジャンプの強豪国だったフィンランドからコーチを招いて指導を仰ぎ、風洞実験で空中姿勢の研究を重ねた。活躍を疑う周囲の目にも「まだ世界で戦える」と自身に言い聞かせ、厳しい鍛錬と自己管理を続けた。

 平昌では初めて会場に家族を招いて飛んだが、個人のメダルを見せられず、また新たな目標ができた。「愛するジャンプをいけるところまで続けたい」。ゴールはまだ先にある。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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