「夢実現 立派」スケルトン小口選手たたえる チームドクター長野の桑原さん

2018年2月19日

スケルトン女子4回戦 ゴールする小口選手=平昌で(17日、共同)

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スパイラルで昨年12月に開催された全日本選手権で、モニターをチェックする桑原さん=長野市で

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 スケルトン女子(十六、十七日)で丸善食品工業(千曲市)に所属する小口貴子選手(33)は、十九位で初の五輪を終えた。目標の入賞には届かなかったが、日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟のチームドクターを務め、長野市営のそり競技施設「スパイラル」で練習に励み、五輪に臨んだ小口選手を見守ってきた同市の医師桑原郁男さん(79)は「夢を実現した。立派です」と健闘をたたえた。

 仙台大時代から競技を始めた小口選手は、大会や練習でよくスパイラルを訪れた。

 小口選手は二〇〇八年からは市教委の嘱託職員となり、スパイラルに勤めながら競技を続け、一二年に丸善食品工業に入社。今年一月二十九日、他国の出場枠返上があり急きょ、五輪出場が決まった。

 本番ではトップに約7秒差をつけられた。桑原さんは「世界との差は大きい。でも、小口選手はすごい努力家で、五輪の舞台で戦った。それで十分」と話した。

 桑原さんは、一九九八年長野五輪前から務めた同連盟のチームドクターを今季限りで退く。年齢もあるが、長野市が今月五日から、多額の維持費などを理由にスパイラルの競技利用を休止したためだ。

 スパイラルでしのぎを削る選手らを見てきた桑原さんは「最初は壁にぶつかってばかりの選手も、今ではきれいに滑り、世界で戦うことができている。二十年でよく成長した」。スパイラルで海外の選手と交流することも楽しみだったと寂しさをにじませる。

 「このままでは後進が育たない。この二十年を無駄にしないためにも国の支援などがほしい」と願う。

 (渡辺陽太郎)

中日新聞 東京新聞

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