竹内選手、勇気のジャンプ

2018年2月18日

 難病と闘いながら、大舞台に戻ってきた。前回ソチ五輪のノルディックスキー・ジャンプ団体で銅メダルを獲得した長野県飯山市出身の竹内択選手(30)=北野建設=が、十七日の男子ラージヒルで、再びメダルを目指した。

 血管に炎症が起こるチャーグ・ストラウス症候群と分かったのはソチ五輪直前の二〇一四年一月のことだ。

 「熱が全然下がらない」「腕が痛い」。父の亨さんに訴えた。東京の国立スポーツ科学センターで検査。担当者は「緊急入院した方がいい」と告げた。

 数日間、長野市の長野赤十字病院に入院した。五輪は目前。周囲には黙っていようと家族と決め、出場した。

 薬の副作用で顔がむくむ。調子もピークからは遠い。それでも力を尽くし、銅メダルに貢献。難病は、その記者会見で打ち明けた。

 「メダルをとらなかったら言わなかった。病気になってもやれるんだと示したかった」。通院先の病院で患者らから「元気をもらった」「自分も頑張る」と声をかけられた。

 投薬治療が続くが、現在の医療では完治の見通しはない。ただ症状は落ち着き、競技に影響はないという。

 ノーマルヒルは出場枠から外れ、ラージヒルで出番が回ってきた。十六日の予選では目まぐるしく変わる風の影響で二十七位。「(いい風が)ぶち当たれば飛ぶと思う」。同じように病気と闘う人らを勇気づけたい。

 (平昌・安福晋一郎、長野支局・渡辺陽太郎)

中日新聞 東京新聞

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