渡部暁斗、悲願「金」へ気持ち切らさない 次のLHや団体でも

2018年2月15日

後半距離でゴールに向かう2位の渡部暁斗(後方)。手前は優勝したエリック・フレンツェル(潟沼義樹撮影)

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 アルペンシア・ジャンプセンターとアルペンシア距離センターで行われ、渡部暁斗(29)=北野建設=が2大会連続の銀メダルを獲得した。日本の冬季五輪メダルの通算50個目。前半飛躍(ヒルサイズ=HS109メートル)で3位につけ、トップと28秒差でスタートした後半距離(10キロ)では優勝争いに加わったものの、ゴール手前の上りで引き離された。エリック・フレンツェル(ドイツ)が前半の5位から逆転で五輪2連覇を果たした。渡部善斗(26)=北野建設=は12位、永井秀昭(34)=岐阜日野自動車=は14位、五輪初出場の山元豪(23)=ダイチ=は33位だった。

 キング・オブ・スキーへの道は、やはり簡単ではない。ソチ五輪と同じフレンツェルとの一騎打ち。残り800メートルを切ってからの上りで一気に前に出られ、そのまま突き放された。「確実に走力では差があるので、あの展開だと厳しい。上手く走って体力は残せていたけど、微妙に勝ち切れないですね」。悲願の頂点には、またしても届きそうで届かなかった。

 それでも、前回とは違った充実感はある。今季はW杯で4連勝を含む1シーズン自己最多の5勝を挙げて乗り込んできた。快進撃を支えてきたジャンプでは、直前に飛んだW杯上位のノルウェー勢が次々と低調に終わる悪い流れの中で、自身は105・5メートルを飛び、3位につけた。

 同い年のライバル、フレンツェルとの距離での一騎打ちも「フェアな戦いができた。お互い同じぐらい(集団を)引っ張り合ったし、他の誰と戦うよりもフレンツェルと戦うのは面白い。彼の方がスピードがあって完敗という感じです」と、真っ向勝負で敗れただけに悔いはない。「今日は(テレビの)チャンネルを変えられなかったんじゃないかな。これで変えてたらちょっとね」とおどけてみせるほど、手応えのあるレースだった。

 まだ五輪は終わりじゃない。あとはほんのわずかな流れ。20日のラージヒルに向けて、「4年前はノーマルヒルが終わって、メダルが取れてうれしくて気持ちが若干切れたが、今回は金メダルを取ると自分で宣言してきているので、気持ちを切らさず、頭を切り替えて、ラージヒル、団体でもメダルが取れるようにベストを尽くしたい」

 もうシルバーはいらない。ゴールドの輝きだけを求めて、日本のエースは邁進する。 (大上謙吾)

  

中スポ 東京中日スポーツ

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