<アンニョン> 女子モーグルの灯

2018年2月14日

 雪がちらちらと舞う夜、三度目の挑戦は終わった。十一日にあった平昌五輪のフリースタイルスキー女子モーグルで、村田愛里咲(ありさ)選手(27)=行学学園教=は決勝一回目で敗れた。「悔いはない」。ゴーグルの中の瞳がうるんだ。

 二〇一〇年のバンクーバー五輪で八位入賞。一四年ソチ五輪で決勝に進んだが練習で負傷して棄権。「本当に悔しくて。自分の滑りをしようと平昌に来た」

 日本女子モーグルの五輪は一九九四年のリレハンメルから始まり、六大会連続で決勝進出。里谷多英さんが金メダリストとなり、上村愛子さんが五大会連続の入賞を果たした。今大会は派遣基準をクリアする日本選手がおらず出場が危ぶまれたが、村田選手は一月のワールドカップで八位に入賞し、滑り込んだ。

 同競技唯一の日本選手として「成績は出せなかったけどやり切った」。取材エリアを出て向かった先に、上村さんの姿があった。二人は一度強く抱き合ってから、決勝が続く会場を見上げた。受け継がれていく日本女子モーグルの灯を見た気がした。

 (鈴鹿雄大)

中日新聞 東京新聞

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