高梨、4年後へテークオフ 技術磨いた上位2人を追い

2018年2月14日

1回目の飛躍でジャンプ台を飛び出す高梨沙羅=共同

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 12日夜にあったジャンプ女子ノーマルヒルで銅メダルを手にした高梨沙羅(クラレ)。今季ワールドカップ(W杯)で未勝利が続く重圧の中で手にした価値あるメダルに涙もにじんだ。昨季まで絶対的な強さを誇った高梨の前には、最近の女子ジャンプ界の流れも立ちはだかった。

 15歳でW杯初勝利を飾って以来、昨季までの6季でW杯個人総合4度の優勝の高梨は、早くから「完成」していた。その高梨の活躍に引っ張られるように、女子選手のジャンプ技術が向上している。

ジャンプ女子の表彰式で笑顔を見せる3位の高梨沙羅(右)、1位のマーレン・ルンビ(中)、2位のカタリナ・アルトハウス=潟沼義樹撮影

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 これに伴い、技術の高い選手の「飛びすぎ」を抑えるため、スタートゲートの位置が昨季までより低く設定される傾向にある。その分、助走路でのスピードが出にくくなり、体重が軽いほど顕著になるとされる。

 決勝1回目は、優勝したルンビ(ノルウェー)が時速87・5キロ、2位のアルトハウス(ドイツ)が87・1キロに対し、最も小柄な高梨は時速86・2キロだった。ある日本選手はスタート位置の影響を「スピードが出ているときは空中でごまかしができるが、今はそれが難しくなっている」と明かす。

 力強い正確な踏み切りも飛躍に影響する。高梨はルンビについて「もともとある足の強さに加え、安定して良い場所で踏み切れている」と技術の高さを口にしたことがある。

 高梨も正確さを誇ってきたが、重圧の中で自分らしさを見失いかけた時期もあった。

 悲願の金メダルに向け「新たな目標ができた。4年後の北京五輪へ、今回の悔しさをまたばねにしていきたい」と語った高梨。競技環境に対応しながら、さらなるレベルアップを目指す。 (上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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