原大智、男子モーグル史上初「銅」 「頭が真っ白に」

2018年2月13日

男子モーグル決勝で3位になり国旗を背に笑顔を見せる原大智=平昌で(いずれも潟沼義樹撮影)

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 フェニックス・スノーパークで行われた決勝で、原大智(20)=日大=が銅メダルを獲得した。20人による1回目を3位、12人で争った2回目をトップで通過し、メダルを懸けて6人で争う3回目に82・19点で3位となった。ソチ五輪銀メダルのミカエル・キングズベリー(カナダ)が金メダルを獲得した。遠藤尚(27)=忍建設=は10位、堀島行真(20)=中京大=は11位。ともに2回目で転倒して敗退した。西伸幸(32)=マンマーノフーズ=は1回目で46・04点の19位にとどまり、2回目に進めなかった。

◆「ミスる気がしなかった」

 今大会での日本勢の、そして男子モーグル界新時代到来を告げたのは20歳の新鋭だった。得点が表示された瞬間、原は跳びはねて隣にいた金メダルのキングズベリーに抱きついた。今季W杯の最高順位が9位。過去のW杯で表彰台経験すらなかった伏兵が、今大会メダル第1号、日本男子モーグルに初のメダルをもたらした。

 「すごく楽しかった。滑りたくて仕方がなかった。ミスる気がしなかった。3位と聞いて金メダルじゃなかったと思ったけど、頭が真っ白になって…。やったあって」

 とがった平昌のコブに有力選手の多くが苦しんだ。W杯で優勝経験のある堀島も、2位経験もあるベテランの遠藤も決勝2回目で転倒。だが、予選を6位で突破した20歳は決勝2回目をトップで通過すると、大トリとなった最後の決勝3回目も安定したターンを披露。エア点は6人中4番目だったがターン点は2位。コブを攻めきってメダルを獲得した。

 「このコースが合っていて、滑りやすいというのが最初の印象。こういうとがったコブが好きで、自分の技術に合っていた。なんだか知らないけど、決勝滑るころには楽しくて楽しくて仕方がなかったんです」。東京・渋谷生まれの都会っ子。中学を卒業後、カナダに留学したのが転機だった。本場でのモーグル修行は「つらかった思い出でしかない。そのときに鍛えられた精神力がここで発揮されたのかな」。さらに昨年3月に世界選手権を制した1学年下の堀島も刺激になった。

 「目立ちたがり屋なんで、堀島が注目されて悔しかった。きょうは銅メダルだったけど、堀島に勝ったぁって」。現在は日大に通う大学生、昨年のトークショーでファンから「コブの攻め方は?」と聞かれて「ボクはつぶすだけ」と答えたパワーモーグラー。言葉とは裏腹に、苦手なエアも進境を見せた新鋭が、晴れやかな笑顔で表彰台に立っていた。 (兼田康次)

 ▼原大智(はら・だいち) 1997(平成9)年3月4日生まれの20歳。東京都出身。172センチ、75キロ。17年世界選手権代表。東京・広尾中卒業後にカナダにスキー留学。日大1年。

 ▼五輪での日本男子モーグル 日本男子モーグルは、五輪種目に正式採用された1992年アルベールビルから日本は過去7大会連続で各1〜4人が出場した。延べ19人中、入賞は2010年バンクーバーの遠藤尚の7位のみ。トップ10入りしたのも遠藤と10年バンクーバーの西伸幸(9位)の2人しかいない。

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