原、メダル先陣「心がいっぱい」 男子モーグル「銅」

2018年2月13日

男子モーグルのフラワーセレモニーで笑顔を見せる銅メダルの原大智選手=12日、平昌で(潟沼義樹撮影)

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 「なんか、今までつらかったなって思って。もう心いっぱいです」。表彰台に上ると、両手を振って、満面の笑みを浮かべた。フリースタイルスキー男子モーグルの原大智選手は、五輪初出場で銅メダルを獲得した。

 決勝2回目で会心の滑りを見せ、最終滑走者として挑んだ3回目。両手を大きく広げて深く呼吸を整えてから、勢いよくスタートを切った。1度目のエア(空中技)で着地も成功させ、加速したまま2度目のエアも安定感を見せた。ゴールの瞬間に力強いガッツポーズを繰り返し、厳寒の夜空に拳を突き上げた。

 銅メダルが決まると、「頭が真っ白になって、やったという気持ちがあふれた」と喜びを爆発させた。

 今季は、結果が伸びずに苦労してきた。五輪前の7戦は2桁順位が6度。先月、代表入りが決まった会見後には廊下の片隅で「もっと成績を出してから五輪に行きたかった」と漏らした。しかし、五輪前にエアを変え、宙を舞いながら板を手でつかむ「グラブ」を入れて難易度も上げ、本番に向けて調整してきた。

 決勝で選手が次々と転倒し脱落していく中、雪の状態にもうまく滑りを対応させた。「自分の技術に合っていて、滑りやすい印象だった」。トップで最終滑走に臨んだことについては「失敗する気がしなかった。本当に楽しくて早く滑りたいという気持ちしかなかった」と自信たっぷりに話した。

 東京都渋谷区で育ち、広尾小4年で競技を始めた。広尾中卒業後はカナダで単身修業し、技を磨いた。そのころの記憶は「覚えていないくらいつらかった」。ただ、その経験から「精神的に鍛えられて、精神力がここで発揮されたのかな」。そう言って少しほおを緩めた。 (安福晋一郎)

◆地元・渋谷に大智コール

 原大智選手の出身地、東京・渋谷。卒業した小中学校がある渋谷区東の酒店「JOLLYS(ジョリーズ)」には12日夜、卒業生らが集まり声援を送った。日本勢初のメダル獲得に、店内には「大智!大智!」とコールが響き渡った。

 「いつもの滑りをしてくれれば…」。区立広尾中学校のPTA会長西川誠司さん(48)は、ドキドキしながら画面の前で祈った。ミスのない滑走後、ガッツポーズする原選手の姿に「絶対に入賞したと確信した」。メダルの色は銅だが、「銅からスタートですよね」と西川さん。「後輩に夢を見せてくれてありがとう」と顔を紅潮させた。

中日新聞 東京新聞

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