高梨、重圧越え銅 「競技人生の糧に」

2018年2月13日

ジャンプ女子で銅メダルを獲得した高梨沙羅の2回目の飛躍(共同)

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 金メダル最有力と期待されながら、4位に沈んだソチ五輪から4年。高梨沙羅選手が、失意と重圧をはねのけて銅メダルをつかんだ。「目標の金メダルには届かなかったけど、一番良いジャンプが飛べた」と語り、しっかりとした口調で続けた。「自分の中でも記憶に残る、競技人生の糧になる経験をさせてもらったと思います」

 決勝2回目のジャンプの後、笑顔が不意にこぼれた。「気が緩んでしまった」。日本のチームメートに抱き寄せてもらうと、涙が止まらなかった。試合後のインタビューでも、目は潤んだままだった。

 先輩に支えられながら、平昌への道を歩んできた。共に五輪を目指してきた平山友梨香選手(27)=HITOWAホールディングス。不振が続いた時も、優しく声をかけてくれた。

 昨年1月。札幌市と山形市であったワールドカップ(W杯)の国内4連戦で、高梨選手は1勝も挙げられなかった。男女を通じて歴代最多タイの通算53勝にあと4に迫りながらの長い足踏み。勝って当然という重圧に押しつぶされそうになっていた。

 最終戦。試合後の夜の会場で、うつむいていると温かいココアを手渡された。「沙羅はいつも頑張っているね」。そう言って抱き締められ、涙があふれた。

 ともに、選手1人で練習する環境だった。昨年のオフ、平山選手が意を決して、高梨選手の欧州合宿に同行した。以来、練習を共にし、よりたくさん言葉を交わす関係になった。

 気持ちが沈むときには励まされてきた。高梨選手は「つらい練習も、友梨香さんがいたから頑張れた」と感謝する。

 先輩に励まされ、手にした銅メダル。インタビューでは、早くも次を見据えた。「自分は金メダルを取る器でないことが分かった。競技者として、もっと勉強していかなければならない」 (平昌・上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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