アイスホッケー女子、五輪初勝利ならず スウェーデンに惜敗

2018年2月11日

 女子1次リーグで世界ランキング下位が入るB組の日本は、初戦で2006年トリノ五輪銀メダルのスウェーデンに1−2で惜敗し、五輪初勝利はならなかった。

 世界9位の日本は同5位のスウェーデンに第1ピリオド序盤に先制された。第2ピリオド終盤、ゴール前の混戦から浮田(ダイシン)が押し込んで追い付いたが、第3ピリオドの序盤にミスから勝ち越しを許した。

 日本は1998年長野、14年ソチの両大会はいずれも5戦全敗。

 B組のもう1試合は韓国と北朝鮮の合同チーム「コリア」がスイスに0−8で大敗した。 (共同)

立ち上がり 圧力かけられ失点

 悲鳴にも似た「ニッポン」コールが鳴り響く。残り47秒で相手が反則。1人多くなった日本はGK藤本那を外して、フィールドプレーヤーを6人にした。捨て身の作戦でシュートを放ち続けたが、堅守のスウェーデンGKに最後まではね返された。

 「立ち上がりでシンプルにできなかった」。主将の大沢が挙げた敗因は明確だった。第1ピリオドの2分、第3ピリオドの1分。いずれも失点は開始早々だった。

 ピリオドの最初5分は相手に慣れるため、「できるだけ相手陣地で」というのがチームの鉄則。調整試合から必ずシュートやクリアで攻撃を終えることを心掛けていた。

 だが、大沢は「相手がこれまでの試合より早くギアを上げてきた」と悔やむ。体格と技術が優れるスウェーデンに圧力をかけられ面食らった。2失点目はDF鈴木の横パスを相手スティックにはじかれ、カウンターを浴びた。

 山中監督は「自陣でパックを取ってもすぐに取り返されるのがうちの悪い時。パックを持ちすぎて、相手に寄せられていた」と、大舞台の難しさを痛いまでに感じた。

 それでも格上を圧倒する時間もあった。第2ピリオドには相手ゴール裏でFW床秦とFW浮田が挟んで相手からパックを奪い、中央へ。FW久保のシュートのこぼれ球を、裏から回り込んだ浮田が押し込んだ。日本が磨きあげた運動量と俊敏性でつかんだ同点ゴール。相手に歯が立たずに5戦全敗となった前回ソチ五輪からの成長を見せた。

 「すぐに切り替えて、次戦に勝つことに集中する」と大沢。番狂わせはならなかったが、メダルへの意欲は消えてはいない。 (江陵・原田遼)

床姉妹、攻守に存在感

 息の合った連係が日本の健闘を支えた。10日行われたアイスホッケー女子一次リーグ。DF床亜矢可(とこ・あやか)、FW床秦留可(はるか=いずれも西武)の姉妹が攻守で活躍した。

 強豪スウェーデンに1−2で敗れたが、姉は体を張って守り、妹は唯一のゴールに絡んだ。

 「代表から外れると、姉は自分より悔しがった。一緒の五輪はうれしい」。秦留可は喜びを感じながら大会に臨んだ。

 姉妹は北海道釧路市で育ち、元アイスホッケー代表の父の影響で小学校入学前から競技を始めた。2014年のソチ冬季五輪では、大会直前の合宿まで姉妹一緒だったが、代表に選ばれたのは亜矢可だけ。以来、「姉妹で五輪」が合言葉になった。

 パスの出し方、動き方。互いにアドバイスをしながら技術を磨いた。亜矢可は「気付いた点を練習や試合中に話し合って改善した。細かいところまで追求できるのが姉妹の強み」と語る。

 「メダルは2人分が手に入る。両親に一つずつ掛けてあげたいな」と語った2人。試合後、秦留可は「一緒にリンクに立ててうれしかった」と話し、亜矢可は「メダルをとるにはあと2戦、絶対に負けられない。次を勝って南北合同チームとの対戦につなげたい」と決意を示した。 (江陵・鈴鹿雄大)

中日新聞 東京新聞

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