伊東、けが飛び越え 亜脱臼から復活 感謝を胸に

2018年2月10日

男子ノーマルヒル予選を突破した伊東大貴の飛躍=8日(潟沼義樹撮影)

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 【平昌=上條憲也】男子のノーマルヒルは10日夜、8日の予選を突破した葛西紀明(土屋ホーム)ら日本勢4人が本戦に挑む。前回ソチ大会の団体ラージヒル銅メダルメンバー、伊東大貴(雪印メグミルク)は昨年11月のワールドカップ(W杯)個人第1戦で右肩を亜脱臼したが、五輪に間に合った。

 風が強いことで知られる平昌のジャンプ台。93・5メートルを飛んだ予選は、飛距離も順位も日本勢で最も低かった。「風が強い時に(スタート合図を)出されたので、危なくもっと手前で落ちるところだった」と苦笑いしながら、「万が一のことがあってもここ(五輪)なんで、仕方ないと思える」と振り返った。

 ポーランドで行われた11月のW杯。着地した後に姿勢を崩して転倒した。右肩を打ち、顔からの流血で雪上も赤く染めた。その後のW杯出場を回避して帰国した。ジャンプ台に戻ったのは1月15日。リハビリをへて所属チームの練習として、札幌市内のノーマルヒルを2本飛んだ。

 その1回目。リフトで上がりながら、なかなか飛ばなかった。板の確認に時間を要したと言いながら「内心びびっていた。冗談じゃなく心の準備が必要だった」と本音を明かす。

 けがの直後は痛みで腕を動かせず、自身4度目の五輪を諦めかけたこともある。だからこそ平昌の空を飛んだ後、「リハビリの先生は休み返上で治療を組んでくれた。チームのトレーナーもそう。そういう方のおかげでここにいる」と感謝の言葉を口にした。

 前回ソチ大会も膝の状態が悪く「大事な試合に万全で臨めないのは、やっぱりもどかしい」。それでも全力を尽くす。右ほおに残ったあざを「苦労する時があっても、あの時は頑張ったなと思えるかな」という勲章とするために。

中日新聞 東京新聞

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