<クローズアップ平昌>モーグル板は日本製が「金」 2社がシェア独占

2018年2月9日

「IDone」のスキー板を手に性能を説明するマテリアルスポーツの藤本誠社長=大阪府守口市で

写真

 フリースタイルスキーのモーグルで、滑りを左右するスキー板の世界シェアは国産メーカー2社がほぼ独占する。世界王者として平昌五輪に臨む男子の堀島行真(中京大)ら日本勢の活躍が注目される中、用具も高い品質でトップ選手の信頼を勝ち取っている。 (佐藤航)

 ワールドカップ(W杯)参戦選手の約8割が愛用するスキー板のブランドは「ID one(アイディー・ワン)」。昨年3月の世界選手権決勝に進んだ男女12人のうち、堀島ら8人も使用した。スキー用品の企画や販売を手掛ける「マテリアルスポーツ」(大阪府守口市)が供給。藤本誠社長は「世界で結果を出すことでブランド力がついてきた」と自信を口にする。

 もともとは海外ゴーグルメーカーの国内代理店だった。スキー板の市場は欧州で人気が高いアルペンで欧州メーカーが牙城を築くが、モーグルなどフリースタイルは比較的ライバルが少なく、日本ブランドが進出しやすかった。

 同社は1999年から開発に着手。当時ゴーグルを提供していた日本女子の看板選手、上村愛子氏の要望を受けて始まり、2002年ソルトレークシティー大会から五輪選手を支えてきた。

 従業員は社長を含めて4人。製造は工場に委託するが、代理店時代からの人脈を生かし、開発段階からトップ選手の声を反映する。スキー板の両端にある金属製エッジに細かい切れ目を入れることで「板がしなやかにたわみやすくなる」(藤本社長)といい、コブに当たった時の衝撃を吸収する特性を備えている。

 これを追うのはスポーツ用品販売大手「アルペン」(名古屋市)の自社ブランド「Hart(ハート)」だ。世界シェア2割弱だが、ソチ五輪女子金メダルのジュスティーヌ・デュフールラポワント、銀メダルの姉クロエ(ともにカナダ)も使う。

 強みは金型の設計から自社で一貫製造できることで、関係者は「(スキー板の)微妙な硬さの違いなどを選手個別に対応できる」と胸を張る。モーグルは板の反発で次のターンへ移行しやすい。そこで芯材の一部にしなやかで強い竹を使用。芯材をはさむグラスファイバーにも工夫を加え、反発力のある板に仕上げた。マテリアルスポーツと同様、競技特性に応じた技術を随所に盛り込んでいる。

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索