対照的な渡部兄弟 父の修さんに聞く2人の素顔

2018年2月9日

 8日に一部競技が始まった平昌(ピョンチャン)五輪で、長野県白馬村出身の渡部暁斗(29)と弟の善斗(26)の両選手=ともに北野建設=は、ノルディックスキー複合での活躍が期待される兄弟だ。兄が4大会連続、弟が2大会連続の五輪出場。「兄はきちょうめんで、弟は大ざっぱ」と評する父の修さん(62)に、2人の生い立ちや素顔を聞いた。

 兄弟には子どもの頃、誕生日などでブロック玩具を与えた。はまったのは兄の暁斗選手。映画「スター・ウォーズ」に出るような飛行機を上手に作った。

 修さんは「こつこつと組み立てる姿は、苦手を試行錯誤で克服する今のスタイルにも通じるものがあるのかも」と語る。

 暁斗選手の競技者としての原点は、長野五輪を白馬で観戦したこと。日本勢が男子スキージャンプ団体で金メダルをとったことなどに刺激を受けて「ジャンプをやりたい」と、小学三年生の時に村スキークラブで始めた。

 善斗選手がジャンプを始めたのは約三年後。クラブの指導者から「やってみるか」と何げなく誘われたのがきっかけだった。修さんは「つられて入ったという感じだった」と振り返る。

 兄弟の性格の違いが現れたのは、遠征時の荷ごしらえ。「同じようなバッグに、暁斗は衣類などをきれいに畳んで収めるけど、善斗は詰め込んだだけだった」という。

 善斗選手は、子どもの頃から兄を「暁斗」と呼んでいる。修さんは「兄は先輩ではなく、互いに対等な競技者という感覚だったのかも」と推測する。

 そんな弟に、兄は一目置いている。暁斗選手は数年前、修さんに「ジャンプは善斗の方がうまい」と打ち明けた。修さんも「何かをする際に暁斗は努力が要るけど、善斗はすぐにできる」と話す。

 マウンテンバイクに乗って体を鍛えるといった練習には、兄弟で出掛けることが多い。暁斗選手の妻はフリースタイルスキー・女子ハーフパイプの平昌五輪代表・由梨恵選手(29)=白馬村スキークラブ=だが、修さんは「暁斗は、由梨恵より、善斗と一緒にいる時間が長いようだ」と笑う。

 修さんは今月中旬に平昌に入り、ラージヒルの個人戦や団体戦を観戦する予定。対極的な息子二人が、五輪の晴れ舞台に挑む姿を見届けてくるつもりだ。

 「平常心で、実力を出せる試合をしてほしい。いい成績にこしたことはないが、どんな成績でも受け入れ、良くやったと声を掛けてあげたい」と話した。

 (林啓太)

中日新聞 東京新聞

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