葛西、ヒヤリ予選通過 緊張…首元のファスナー閉め忘れた

2018年2月9日

男子ノーマルヒル予選葛西紀明の飛躍=平昌で(潟沼義樹撮影)

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 男子ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS109メートル)予選が行われ、日本勢は冬季五輪史上単独最多となる8度目の出場を果たした葛西紀明(45)=土屋ホーム=が98メートルの117・7点で20位となるなど、4人全員が10日の本戦へ進んだ。小林潤志郎(26)=雪印メグミルク=は101メートルの118・4点で18位、小林陵侑(21)=土屋ホーム=は21位、伊東大貴(32)=雪印メグミルク=は31位で通過した。

 偉大な記録が懸かる1本のジャンプに、百戦錬磨の「レジェンド」といえども重圧を感じていた。しっかりと飛んで着地さえ決めれば、夏冬合わせて日本史上単独最多、世界でも最多タイとなる8度目の五輪出場が公認される。低い飛び出しから距離を伸ばしきれず、結果は平凡な98メートル。ホッとしたと同時に、あるミスに気付いた。

 「予選通ったんですか、僕? 緊張のあまり(スーツのファスナーを首元まで)閉め忘れて。飛び終わって、(小林)陵侑に言われて、『うそ〜』って」

 スーツチェックの規定をなんとかクリアし、記録、順位は公認。「風が入って抵抗があったから、5メートルぐらい伸びなかったかな」と安堵(あんど)しながら、冗舌に振り返った。

 晴れて8大会連続出場の偉業を達成し「本当にうれしい」と充実感に浸りつつ、「今季初めからずっと8回目の重圧があった。五輪だからという緊張感はなかったけど、『予選通るかな』とか『8回目達成できるかな』とか。そういう重圧があった」と告白。それでも「これでだいぶ吹っ切れると思う」と、ようやく重いかせから解き放たれた。

 9日は日本選手団の旗手として、開会式に出席する。近年では大会前に負担のかかる開会式は敬遠されがちだが、葛西は前回のソチ五輪では主将として開会式に参加し、個人で銀メダルを獲得した。「レジェンド」の姿に呼応し、今回は多くの選手が出席するという。

 「いや〜、楽しみ。いつもはみんな出ないんだけど、僕が『ソチの時は楽しかったよ』と言ったら、みんな『出たい』と言ってくれた。いろんな選手と会って、パワーを分かち合いたい。旗手として、思い切り旗を振ってきますよ」。どこまでもエネルギッシュな45歳が、極寒の平昌を熱くしていく。 (大上謙吾)

中スポ 東京中日スポーツ

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