小林兄弟 父との遊びが飛躍の原点 きょうジャンプ予選
2018年2月8日
公式練習で調整する弟・小林陵侑(左)と兄・小林潤志郎=平昌で(潟沼義樹撮影) |
平昌(ピョンチャン)冬季五輪は9日の開会式に先立ち、ノルディックスキー・ジャンプ男子ノーマルヒル予選が8日に始まる。26歳の小林潤志郎選手(雪印メグミルク)と21歳の陵侑(りょうゆう)選手(土屋ホーム)の兄弟は初の五輪で、メダルを目指す。
潤志郎選手は長野五輪団体金メダリストの原田雅彦さんが監督を務めるチームで、陵侑選手は8度目の五輪を迎える葛西紀明選手(土屋ホーム)と同じ所属先で、それぞれ歴史に名を残す名ジャンパーの教えを受けながら初の五輪にたどり着いた。
岩手県八幡平市出身。ともに早くから才能の片りんを見せた。潤志郎選手は高校1年の総体で優勝、3年時に複合世界ジュニア選手権を制した。陵侑選手も中学時代、全国大会でジャンプと複合の2冠に輝いた。
中学教諭の父宏典さん(53)は、北海道育ちの元クロスカントリー選手。学生時代、中京大体育学部で運動生理などを学んだ。子どもが生まれると「3歳までが勝負」と成長に合わせ、本気の鬼ごっこなど独自の遊びを考えた。
「クモ!」の掛け声を合図に家中を逃げ回る子どもたち。捕まればクモの巣にかかった虫のように宏典さんの腕から逃げられない。兄弟は股をくぐり抜けたり、フェイントをかけたりして、自分で逃げ切る方法を考えた。「人の動きを読みながら知的に逃げたのは潤志郎。すばしっこく野性的に逃げたのは陵侑」
父の「英才教育」を受けて、いまも抜群の身体能力を武器とする2人。「兄弟で一緒に高め合っていきたい」(潤志郎選手)と、日本勢の先陣を切り、ジャンプ台に立つ。 (平昌・上條憲也)