小3で「滑り、最高だった」 モーグル・堀島行真選手

2018年2月6日

 平昌冬季五輪が9日に開幕する。西濃地域からは、フリースタイルスキー男子モーグルに池田町出身の堀島行真選手(20)=中京大2年、ノルディックスキー男子複合に大垣市の永井秀昭選手(34)=岐阜日野自動車=がそれぞれ出場する。堀島選手は1月のワールドカップ(W杯)で初優勝し、金メダルの期待が高まる。永井選手はソチ五輪に次いで2大会連続出場。2人を知る地元の関係者は大舞台での活躍を願ってエールを送っている。

◆躍動感ある滑りを 検定員の駒月さん

堀島行真選手

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 揖斐川町春日美束の国見岳スキー場で、全日本スキー連盟(SAJ)公認のスキー検定員を三十四年間続けている駒月光明さん(55)は、池田町温知小学校三年だった堀島選手の滑りを今でも覚えている。「これまで見てきたスキーヤーの中で、彼の滑りは非の打ちどころがなく最高だった」と振り返る。

 駒月さんによると、堀島選手は当時、全日本の技術選手権の参加資格が得られるスキー検定一級を、二歳上の姉有紗さんと一緒に受検するため両親に連れられて同スキー場を訪れた。

 一級の検定は大人でも難しく、早くても小学校高学年で受ける人がほとんど。身長一三〇センチほどの堀島選手を見て、駒月さんは「本当に大丈夫なのかな」と不安に思ったという。

 だが、堀島選手の滑りを見てその不安はすぐになくなった。一般のスキー板よりも短いジュニア用の板を履いて、大人顔負けのスピードでターンを見せた。検定員三人のうちの一人としてゲレンデ下から見守った駒月さんは「板が短いとバランスを保つのが難しいはず。信じられないくらいのバランス感覚だった」と振り返った。

 真骨頂は検定最後の種目の「不整地」だった。モーグルと同じ、コース上にあるこぶの中を正確に滑る種目で、スキーがうまい大人でも恐怖感を覚えるという。

小学校3年だった堀島選手の滑りを振り返る駒月さん=揖斐川町役場で

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 だが、堀島選手はこれまでよりも躍動感がある滑りを披露。駒月さんは「こぶに入る際に恐怖で躊躇(ちゅうちょ)する人が多い中、彼は水を得た魚のように楽しげに滑っていた。今振り返ると、モーグルに向いていたんですね」と笑う。検定は満場一致で合格だった。

 堀島選手とはそれ以降会ってはいないが、活躍は新聞やテレビを通して知っている。「まさかここまでの選手になるとはと、また驚かされた。いろいろと重圧があると思うが、検定の時のように滑りをエンジョイしてほしい」と話した。

◆挑戦者の気持ちで 同級生の羽実さん

 小学生のころから運動神経が抜群で、「いっくん」と呼ばれて友人も多かった堀島選手。小中学校時代の同級生も五輪での活躍を願っている。

 日本大二年の羽実壮里さん(20)=東京都世田谷区=は、池田町温知小学校、池田中学校の九年間を一緒に過ごした。小学校時代は持久走大会で毎年一位に輝き、バック宙もできるほどの運動神経で、目立つ存在だった。

 羽実さんも高校時代に陸上の三段跳びで国体や高校総体に出場するアスリートだが、「いっくんは別格だった」と振り返る。

 羽実さんは、テレビなどで質問に謙虚に答える堀島選手の誠実さが印象に残っている。「中学時代も活躍していたけど、そんなことは全く自慢せず、最近の活躍で本当にすごい選手だと知ったくらい。謙虚さは変わらないですね」と笑う。

 堀島選手は一月のW杯第七戦で初優勝するなど、金メダルに向けて調子を上げている。羽実さんは「挑戦者の気持ちを持って攻めの滑りを見せてほしい」とエールを送った。

 (広田和也、滝田健司)

中日新聞 東京新聞

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