ノルディックスキーのワールドカップ（Ｗ杯）複合白馬大会は４日、長野県白馬村で個人第１４戦が行われ、平昌五輪に出場する渡部暁斗（２９）＝北野建設＝は３位となり５連勝を逃した。前半飛躍（ヒルサイズ＝ＨＳ１３４メートル）で１１６メートルの８位と出遅れ、トップと１分１７秒差でスタートした後半距離（１０キロ）で４人抜きも、終盤力尽きた。優勝した前半７位のヤン・シュミット（ノルウェー）とは、１１・１秒差だった。

　最後は意地だけだった。渡部暁は、目いっぱい右足を伸ばすと、ゴール直後にそのまま崩れ落ちた。４位のチェコ選手とは０・１秒差で表彰台を死守し、「なんとしても３位は確保しないとというプライド、プライドの差」と語気を強めた。

　最近好調だったジャンプが誤算の始まりだった。直前のトライアルで１３１メートルの大ジャンプも、本番では体の向きが「ちょっと前だった」とバランスに狂いが生じ、Ｋ点（１２０メートル）に４メートル届かなかった。

　トップに１分以上遅れてスタートした距離では、５キロ手前までに７人抜いて２位に浮上、２位グループの先頭を、優勝したシュミットと交互に走った。「レースを引っ張っているときは風よけになっているので、体力を使い、きつかった」と、スタミナを激しく消耗。「（飛躍と距離）両方に反省点が残るレース内容だった」と振り返った。

　今後は、７日に東京に移動し８日に韓国入りの予定。競技は１４日の複合個人ノーマルヒルから始まる。先行逃げ切りでの連勝街道こそ途絶えたが収穫もあった。「追う展開のレースを思い出すことができ、いい刺激になった。これで平昌オリンピックで何が起きても大丈夫。何でもこいとどっしり構えて臨める」。日本初の複合個人金メダルへ、視界は全く曇っていない。　（福沢和義）