小林潤、五輪前最後の実戦V ジャンプUHB杯
2018年2月4日
優勝した小林潤志郎=大倉山で |
ノルディックスキーのUHB杯ジャンプ大会は3日、札幌市大倉山ジャンプ競技場(ヒルサイズ=HS137メートル)で行われ、男子は平昌冬季五輪代表の小林潤志郎(26)=雪印メグミルク=が1回目に最長不倒の140メートル、2回目に127・5メートルを飛んで合計271・7点で優勝した。五輪前最後の実戦で、代表の小林陵侑(土屋ホーム)は135メートル、131メートルの268・5点で2位、伊東大貴(雪印メグミルク)は2回とも128・5メートルの248・8点で3位、竹内択(北野建設)は5位だった。調整を優先した葛西紀明(土屋ホーム)は欠場した。
平昌冬季五輪前最後の実戦で今季好調の小林潤が順調な仕上がりぶりを見せた。ともに五輪に臨む弟の小林陵や、伊東ら代表勢、36歳のベテランで五輪金メダル4個のアマン(スイス)らを抑えて勝ち「いい緊張感の中で優勝できてうれしい」と充実した表情だった。
1回目はヒルサイズを3メートル越える大飛躍。満点が60の飛型点も58点で「内容が良く、自分のジャンプができた」と話した。最後に飛んだ2回目はやや伸びを欠いたが、K点(123メートル)を4・5メートル越えた。ただ、納得はできない。今季はワールドカップ(W杯)でも2回目に飛距離が伸びないことがあり、この試合も同様だった。「2本そろえられるようにしていきたい」と課題を挙げた。
1日から4日までの札幌合宿では「アプローチをもっと確実なものにしたい」と、助走路の滑りに重点を置いて取り組む。これまで遠征続きでできなかった分、今回の合宿で練習を積み「いい感じで調整できている」と言う。五輪初戦のノーマルヒルは1週間後。「表彰台に向かってやりたい」と力強く宣言した。
平昌五輪の壮行会で花束を手に笑顔を見せる葛西紀明(手前)ら |
◆葛西も壮行会参加
試合後に札幌スキー連盟による五輪代表の壮行会が行われた。調整を優先して大会を欠場した葛西も参加し「8度目の五輪でうれしく思う。期待を背負って、札幌市民のパワーを発揮してきたい」と、ファンを前に力強く宣言した。五輪本番までは飛躍の練習をせずに臨む予定。試合が夜に行われるため、夜型の生活をしてリズムを合わせているという。「ストレスがかからないよう、ソチの時のようなイメージでやっていきたい」と話した。
◆弟の小林陵が2位
五輪代表の小林陵は2位。大きなミスをせず、出場選手の中でただ一人130メートルを越える飛躍をそろえた。「技術が安定してきている。試合で出せて良かった」と話した。優勝した兄の潤志郎とともに平昌に乗り込む。今季は徐々に調子を上げてきており、五輪でも健闘が期待される。21歳のジャンパーは「多くのことを吸収したい。実りのある五輪にしたい」と初の大舞台に向けて意気込みを語った。
◆復帰の伊東はまずまず
1月下旬にけがから実戦復帰した五輪代表の伊東は2回ともK点を越えるまずまずの飛躍で3位に食い込んだ。「最低限の結果。悪くないけど6〜7割の出来」と淡々と振り返った。昨年11月のW杯個人第1戦の着地で転倒し、亜脱臼した右肩にはまだ痛みが残っており、思うように動かすことができない。着地の際には「(不安が)よぎって恐る恐るになってしまっている」と言う。「平昌は風が強い台なので、恐怖心との戦いになる。心の準備をして、思い切っていけるようにしたい」と話した。