<アリランの風>(2)極寒の楽しみ 厚さ44cm 氷下のマス釣り

2018年2月3日

氷点下の気温が続く平昌。マス釣りが人気を集め、厚い氷が張った川に風よけのカラフルなテントが並ぶ

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 氷点下10度をさらに下回る空気が顔や手に刺さる。1000メートルを超える五台(オデ)山の峰から流れる五台川に厚さ44センチにもなる氷が張っていた。車が乗ってもびくともしない厚みの上には赤や黄のテントがずらり。冬に開かれる「平昌(ピョンチャン)マス祭り」は、車で3時間のソウルからも観光客が訪れる。

 氷のあちこちに開けられた直径15センチほどの穴に向かって、ある人はいすに座り、ある人は寝て顔を近づけ、釣り糸を垂らす。寝そべると、魚が餌に食い付く様子が見えて釣りやすいそうだ。体長40センチほどのマスが、糸に引かれてニョキッと穴から顔を出した。

 ここ3年の2月の平均最低気温が氷点下10.1〜同9.0度という平昌の寒さを生かした祭りは、11年前に始まった。運営委員の林鍾錫(イムジョンソク)さん(35)は「農業が休みの冬に、若者の雇用や観光のために何かできないかと考えた。昔からマスの養殖が盛んだからね」。狙いは当たり、週末は1日1万人近い人でにぎわう。

 釣り糸を垂らしていると、体の芯まで冷える。地元で農業を営む楊〓亨(ヤンチョルヒョン)さん(35)は「でも、釣れた瞬間が楽しくて、毎日来たくなるんだ」と笑う。極寒だからこその楽しみは、もうすぐ始まる冬季五輪も同じだ。

 写真・田中久雄/文・安福晋一郎

※〓は、さんずいに育に攵

中日新聞 東京新聞

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