<アリランの風>(1)歓迎ムード すべては大会成功のため

2018年2月1日

朝焼けを背にシルエットを浮かび上がらせる五輪マーク。日の出スポットとして人気を集め、氷点下のなか大勢の人たちが訪れる=江陵で

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 東の水平線から黄金の光が差し始める。江陵(カンヌン)の鏡浦(キョンポ)海岸。砂浜のモニュメントを貫くように、朝日が顔を出した。氷上競技の会場がある江陵は、市庁舎、駅、店先とあらゆる場所に5色の輪があふれる。

 大会組織委でショートトラックの種目担当官を務める辺(ピョン)チョンサさん(30)は、「いよいよ」と気持ちが奮い立つ。辺さんは2006年トリノ五輪のショートトラックで金メダルを獲得した。選手生活を終えた11年、指導者の道に進むが、「来年も5年後も教えるだけの生活。これでいいのか」と悩んだ。そんなとき、五輪の自国開催が決まる。「何としても関わりたい」。すぐに英語の勉強を始め、採用試験に応募した。

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 「選手が最大限の力を発揮できる舞台を整える」。そのために会場スタッフの採用、教育から整氷技術者との調整まで多くの業務をこなしてきた。裏方として“最終コーナー”を走り回る今も疲れは感じない。「以前は金メダルのために自分のすべてを懸けた。今度は大会成功のためにすべてを懸ける」

 情熱の国は、もてなしの機運を膨らませて開幕へ。

 写真・田中久雄/文・安福晋一郎

 長野以来20年ぶりとなるアジアでの冬季五輪、平昌五輪は9日、韓国北東部・江原(カンウォン)道の平昌(ピョンチャン)や江陵で開幕する。江原道は韓国で最も有名な民謡「アリラン」の発祥の地の1つとされる。哀愁を帯びた調べが似合う静かな地はいま、祭典を間近に控えて熱気に包まれている。

中日新聞 東京新聞

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