圧巻 渡部暁「金」へ弾み ノルディックW杯3連勝

2018年1月29日

W杯個人第12戦で優勝、3連勝を果たした渡部暁斗(中央)=ゼーフェルトで(AP・共同)

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 【ゼーフェルト(オーストリア)=共同】ノルディックのワールドカップ(W杯)複合は28日、当地で3日間、3試合の総合成績で競う「トリプル」最終戦を兼ねた個人第12戦が行われ、平昌冬季五輪代表の渡部暁斗(北野建設)が3連勝で今季4勝目、通算13勝目を挙げた。1シーズン4勝は自己最多タイ。

 複合のW杯でハイライトの一つといえる3連戦に完勝した。渡部暁は15キロの後半距離を余裕の表情で走り抜け、2位に1分14秒9の大差をつけた。

 右腕を突き上げ、雄たけびを上げてゴールし「(トリプルに)勝てたのは一つ大きいステップ」と余韻に浸った。

 前半飛躍で勝利に大きく前進した。3連戦の最後は得意のジャンプが2回となる上、前日の成績が得点に反映される。2連勝中の渡部暁が104メートル、103メートルを飛べば、トップに立つのは当然だった。後半は独り旅。「ペースをコントロールして走り切れた」と胸を張る内容に、日本の河野孝典ヘッドコーチも「最後までガス欠を起こすことなく上手に走った」とレース運びに目を細めた。

 重圧には強いと自負する渡部暁だが、レース前は珍しく神経質になっていたという。理由は2年前のトリプル最終戦。前半飛躍で首位に立ちながら、10キロで行われた後半距離でエリック・フレンツェル(ドイツ)に56秒差を逆転された経験から「悪いイメージ」が頭に残っていたからだった。

 だが、今回のレースを勝ち切ったことで苦い記憶を払拭(ふっしょく)し、昨年11月の今季第3戦以来のW杯個人総合首位にも返り咲いた。「取り戻せたのは実力がついている証拠」。五輪に向け、自信と手応えは一層深まりつつある。

中日新聞 東京新聞

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