<クローズアップ平昌>平野vsホワイト 東京での再戦は課題多い

2018年2月19日

14日の男子ハーフパイプ決勝2回目 エアを決める平野(潟沼義樹撮影)

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 スノーボード男子ハーフパイプ(HP)を制したショーン・ホワイト(米国)と2位の平野歩夢(木下グループ)は、ともに幼少期からスノボと同じ“横乗り系”と呼ばれるスケートボードに親しみ、二つのスポーツに共通する「板」を扱う基礎を養った。スケボーは2020年東京五輪の新競技に採用されており、早くも両雄による陸の上での再戦を期待する声もあるが、スノボとスケボーの両立には課題も多い。 (佐藤航)

 ホワイトはスケボー界でも名をはせる。最高峰の夏季「Xゲーム」(米国)で、スノボのHPに近い「バート」という種目で2度の優勝を誇る。一方、4歳でスケボーを始めた平野は今もスノボの動きの確認などに取り入れる。現地からの報道によると、平昌での決戦翌日の15日、東京五輪挑戦について「可能性があれば、という形で考えている」と発言。ホワイトも「難しい決断」としたが、挑戦に余地を残した。

13日の男子ハーフパイプ予選2回目 エアを決めるホワイト

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 スケボーはスノボと違い、足が板に固定されていない分、板の操作が難しい。跳び上がる際、板後方の「テール」を足でたたいて前方を持ち上げる技術が不可欠。関係者は「スノボ経験しかないスノボ選手はこの感覚がなく、ジャンプする時も勢いで跳ぶ。見る人が見れば、一目で違いが分かる」と指摘する。

 スケボーならではの「足で板をつかむ感覚」を会得しているホワイトと平野は、平昌五輪決勝で4回転の大技を連発。これこそスケボー技術の応用であり、ホワイトが披露した高難度の「マックツイスト」など、スケボーをルーツに持つ技も少なくない。

 ただ、東京五輪のスケボー種目に適応するのは容易ではない。実施されるのは、コースに設けられた手すりやジャンプ台、階段などを滑りながら技を繰り出す「ストリート」と、敷地内に設置された同様の構造物を跳び回って制限時間内に自由に技を繰り出す「パーク」。ダイナミックな空中技を繰り返すスノボHPとは競技性が大きく異なる。

 スノボを主戦場とする活動期間が長ければ、スケボー独特の感覚を保ち続けるのも難しい。東京五輪まで2年という短い準備期間を考えれば、二兎(にと)を追う挑戦は一筋縄にはいかなそうだ。

中日新聞 東京新聞

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