平野、王者と世界一の勝負 「悔しい」金の夢へ歩む

2018年2月15日

銀メダルを獲得し歓声に応える平野歩夢。右は優勝した米国のショーン・ホワイト=共同

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 男子ハーフパイプ(HP)決勝で、平野歩夢(木下グループ)が前回ソチ五輪に続いて銀メダルを獲得した。ショーン・ホワイト(米国)が2大会ぶり3度目の優勝を果たした。

 平野は2回目に95・25点をマークしてトップに立ったが、最終滑走のホワイトが3回目に97・75点を出して逆転した。

 片山来夢(バートン)は87・00点で7位入賞、戸塚優斗(ヨネックス)は2回目に転倒して3回目を棄権し、11位だった。 (共同)

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 ホワイトが4回転の連続技や3回転半を組み入れた決勝3回目を終え、1分半後。暫定首位に立っていた平野を上回る97・75点が表示される。わずかに頂点を逃した平野。王者を静かに見つめながら「彼の滑りも完璧だった。自分も楽しめた。過去一番の大会」。健闘をたたえ、すがすがしい表情を浮かべた。

 1回目94・25点でトップに立ったホワイトを追う2回目。軸をずらして縦2回転、横4回転する大技「ダブルコーク1440(DC14)」などの連続技で95・25点。首位に立った。ただ、その差は1・00点。「どうせ超されるだろうな」と3回目に勝負をかける。最初の大技の後、着地後わずかによろけた。最終滑走を待つ王者に重圧をかけることはできなかった。

 連続技を決意させたのは銀メダルを手にしたソチ五輪だった。DC14を決めて金メダルに輝いたポドラドチコフ(スイス)に、単発技では太刀打ちできない。2シーズン前、トッププロが集う最高峰の「Xゲーム」を制したが、世間の反応は薄かった。五輪で金メダルを取るしかないという思いも背中を押した。

 回転の勢いに負けない体をつくるため、雪上練習後も腹筋を欠かさないなど華やかな競技の陰で強化を続けた。昨春の大けがにも打ち勝って今年1月には、Xゲームで世界で初めてDC14へとつながる連続技を披露してみせた。

 五輪を制することはまた、できなかった。だが、下を向いてはいない。「前回は悔しさはなかったが、今回は頂点を狙うために練習してきた。けがもあったが、今は悔しさが自分のどこにあるかがはっきり分かる」。次の目標に向け、19歳の進化がまた始まる。 (上條憲也)

<平野 歩夢(ひらの・あゆむ、木下グループ=スノーボード男子ハーフパイプ)> 14年ソチ大会で銀メダルを獲得し、雪上競技で五輪史上最年少となる15歳74日で表彰台に立った。最高峰のプロ大会「冬季Xゲーム」で2度優勝。新潟・開志国際高出、日大1年。160センチ、50キロ。19歳。新潟県出身。 (共同)

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中日新聞 東京新聞

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