平野歩夢、果敢に大技挑戦 「DC14」完璧に決める

2018年2月14日

◆男子ハーフパイプ決勝

男子ハーフパイプ決勝2回目エアを決める平野歩夢=共同

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 失敗を恐れない平野の果敢な姿勢が、絶対王者をぎりぎりまで追い詰めた。

 1回目で失敗しながら、2回目もまったく守りに入らなかった。軸をずらして縦2回転、横4回転する大技「ダブルコーク1440(DC14)」を決めた直後、種類の違うDC14に成功。続く跳躍もほぼ完璧に決めた。

 「自分の滑りができれば良い結果になる」と語っていた通り、この時点でトップに立つ。3本目でホワイトにかわされたが、「今、自分ができる範囲の中では全力でやれた」と充実感をにじませた。

 周囲の雑音やアクシデントに屈することなく、淡々と技と体を磨いてきた。

 昨季はスノーボードの未成年選手の飲酒や大麻使用が相次いで発覚し、全日本スキー連盟はスノボの活動を一時休止した。追い打ちをかけるように、数少ない実戦だった昨春の大会で転倒。左膝靱帯(じんたい)と肝臓を損傷して3カ月も戦線を離れたが、その間は筋力トレーニングを増やして体幹を鍛えた。

 スノボは「若者の遊び」という先入観を持たれがちだが、六つに割れた腹筋は妥協のない鍛錬の証し。限られた選手しかできない4回転を支える強い軸になっている。DC14を立て続けに跳ぶコンビネーションは、目の肥えた米メディアから「歴史的な連続技」と絶賛されている。

 絶えず意識してきたのは、やはり世界的に名をとどろかせるカリスマのホワイトだ。大舞台で王者に打ち勝つ野望が、苦しい時期を乗り越える原動力になってきた。夢にはあと一歩届かなかったが、高次元の競り合いを「楽しかった。今までで一番の大会だった」と締めくくった。 (平昌・上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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