いい滑り見せたかった スノボ女子・今井選手
2018年2月13日
自宅のスケートボード練習場で今井選手(左)にエールを送る父義幸さん=長野県上田市で |
【平昌(ピョンチャン)=鈴鹿雄大】十二日に始まった平昌冬季五輪スノーボード女子ハーフパイプ(HP)で、長野県上田市出身の今井胡桃(くるみ)選手(18)=バートン=は予選で敗退した。父義幸さん(47)は娘のため国際審判の資格を取得し、競技のアドバイスをしてきたが、この日は審判の立場を忘れて父親として大舞台に立つ娘を見守った。
「応援してくれた大勢の人に感謝を込めて、かっこいい滑りをしたかった」。今井選手は予選敗退に悔しさをにじませた。
自宅の敷地内には体重移動の感覚を養うためのスケートボードの練習場がある。十年ほど前、義幸さんが木材を組み立てて作った。空中感覚を磨くための跳躍器具もある。
今井選手は五人きょうだいの末っ子。五歳のときに兄の影響でスノーボードを始めた。十一歳でアマチュア七大会を制覇してプロ選手となり、五輪出場を目標に掲げてきた。自宅やゲレンデで毎日汗を流した。
「世界でいい成績を残せるように」。義幸さんは競技経験はなかったが、今井選手がプロになった時期に国際審判の資格を取得し、評価基準や滑りの改善点を教えてきた。
今井選手が出場する国内大会で審判をすることもあった。いい滑りを知っているだけに評価は厳しい。「嫌なんだよね」。アドバイスが今井選手に煙たがられたこともある。審判は、大会前の公開練習から選手と接触できない。「こうすれば勝てるのに」との思いは我慢。その分、普段から競技の話をしてきた。
競技を終えて駆け寄ってきた今井選手を抱き締めた義幸さん。「ちょっと動きが硬かったけど頑張った。次がある」。サングラスを掛けたまま話した。涙の跡が見えないように。