国武、16歳誕生日飾れず転倒

2018年2月11日

2回目の滑走を終え、引き揚げる国武=潟沼義樹撮影

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 「あー」っと会場にため息が広がる。スロープスタイル男子、国武の滑走1回目。コース後半に三つ連なるキッカー(ジャンプ台)の二つ目で3回転半を飛んだ後、飛距離が足りずに着地が乱れ、派手に転倒した。挽回で挑んだ2回目も、同じ二つ目で今度は尻もち。どちらも得点を伸ばせず「予選通過できなかったので悔しい」。16歳の誕生日と重なった初の五輪は、ほろ苦い結果となってしまった。

 今季からワールドカップ(W杯)に参戦し、1月の試合で初の表彰台となる2位に入った。ただ、その試合にはいなかったトップクラスが勢ぞろいした五輪の舞台。「レベルが全然違う」と痛感した。

 序盤の斜面で一気に加速がつく大柄な海外勢に対し、小柄な成長途上の16歳はスピードに乗りきれない。コース上に吹いた風も影響した。国武は「言い訳になるので、実力にしといてください」と多くを語らないが、コーチ役の父・大毅さんは「体重がない分、スピードが落ちるとキッカーで得意な技さえ出せない。本人は決して言わないが、親が言い訳したいくらい」と息子をおもんぱかった。

 競技後、国武は会場に応援に駆け付けた知り合いに近づき、「反省点がいっぱい見つかった。ちょっとじゃないよ。これぐらい」と両手を広げ、「今日は眠れない」。だが、まだ新種目のビッグエアが待ち受ける。次こそはの思いでこう言った。「楽しみつつ、次は予選を通過したい」

 (上條憲也)

中日新聞 東京新聞

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