7月17日
<オンサイド>エムバペ 王の道 ペレ以来 決勝10代得点
フランスの最大の勝因は、鉄壁の守備だったかもしれない。しかし、堅守を勝利に結び付けたのは、チームを一瞬にして「守」から「攻」へと変貌させることができる19歳のエムバペの常識破りと言っていいスピードだった。
後半立ち上がり、クロアチアが猛攻を仕掛けていたとき、ポグバが突然右前方に無謀とも思えるパスを出した。だがエムバペは楽々と追いつき、シュートまで持ち込んだ。後半14分には再びポグバの超ロングパスを追って右サイドを突破。中央に入れたボールからポグバの3点目が決まった。そして後半20分には、自ら右足で低い弾道のミドルシュートをねじ込み、試合を決定づけた。
決勝での10代の得点者は、1958年大会で優勝したブラジルの「王様」ペレ以来。今大会4得点で文句なしの「ヤングプレーヤー賞」に輝いた。その活躍はグリーズマンやジルーら先輩たちの献身的な動きに支えられたもので、まだ自らチームをけん引するまでには至っていないが、スピードとともにドリブルのテクニック、決定力も持ち、今後10年間の世界のサッカーを担う人材であることは間違いない。
メッシ(アルゼンチン)、ロナルド(ポルトガル)の二大スターが志半ばで大会を去る中、次代のスーパースターが登場した。(モスクワ、大住良之=サッカージャーナリスト)