7月17日

モドリッチ 不屈の勲章 輝くMVP クロアチア誇れる2位

 初優勝の夢がついえる笛が響くと、両手を腰にあてて静かに敗戦を受け入れた。大会最優秀選手に選ばれたモドリッチは、「あと少しで世界一に手が届くところだった。何よりW杯のトロフィーが欲しかった」とつぶやいた。

 決勝でも類いまれな攻撃センスを発揮した。前半10分、右足のアウトサイドで左のストリニッチへ極上のパスを送るなど、序盤のクロアチアの優勢を演出した。それだけに「不運なゴールで大きな犠牲を払うことになった」と、FKとPKで2失点した前半の判定に悔しさをにじませた。

 人口400万人余りの小国の躍進は、スペインの強豪レアル・マドリードで10番を背負う同国の英雄なしにはありえなかった。正確なシュートに巧みなパス、豊富な運動量。身長172センチの小柄な司令塔が、幾度となくチームの苦境をはねのけた。

 「大切なのは諦めずに自分を信じること。僕はそうやって生きてきた」。旧ユーゴスラビアの分裂に巻き込まれ、6歳のときにセルビア兵に祖父を殺害された。避難民だった幼少期を乗り越えて一流選手の階段を上った物語に胸打たれたのは、クロアチア国民だけではないだろう。

 3試合連続の延長を含む7試合を戦い抜いてたどり着いた準優勝。「良いプレーをしても勝てるとは限らないのがサッカー。けれど僕たちは勇敢に戦い、クロアチアにとって誇れる大会になった」 (浅井俊典)

中日新聞 東京新聞

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