フランス代表のデシャン監督 “チルドレン”と共に頂点へ
フランスのデシャン監督(ゲッティ・共同) |
フランスのデシャン監督(49)は2度目の優勝に向け、3つのキーワードを挙げた。「決勝では落ち着き、自信、集中。ベストなプレーをするにはこの3つのワードが必要だ」。自身は史上3人目となる選手と監督の両方での優勝を狙う。98年大会との違いについて「現在のチームは2年前の欧州選手権決勝で敗れた苦い経験がある」と語った。
母国で開催された98年大会では主将として多様なルーツを持つチームをまとめた。プロ1年目からその資質は持っていたという。85年にナントでプロ選手としてスタートした時の監督だったスオードさん(80)は目を細め、懐かしそうに言った。
「デシャンも指揮官の素質はあったね。バヒド(ハリルホジッチ)とは全く違ったカリスマ性があったね」
日本代表のハリル前監督を得点王に導いた名伯楽は、17歳のデシャン青年について語った。ハリル前監督はFWとして「オレが決める」というオーラを放っていた。監督室は魔法をかける「マジックルーム」と呼ばれていた中、ハリル前監督とは攻撃について議論。一方、ルーキーのデシャン青年も頻繁に「マジックルーム」をノックし、こう言ったという。
「きょうのプレーはどうでしたか。改善するにはどうすればいいですか。教えてください」
監督との関係を早くから重視していた。174センチと小柄でも、元フランス代表のカントナさんが「水を運ぶ人」として称賛するなど潤滑油としてチームの歯車を回した。チームメートにも認められ主将を歴任。監督になっても姿勢は変わらなかった。
準々決勝ウルグアイ戦でFWエムバペが“乱闘騒ぎ”を起こすと活を入れた。新星として持ち上げられる19歳に対して「彼のW杯はここで終わりではないのだ。もっと上へと飛躍しなければならない」と愛のムチを入れた。一方で「大会中の成長を誇りに思う」とも口にする。10代からカリスマ性をまとった指揮官は、平均年齢26歳というデシャンチルドレンと共に偉業達成に挑む。(占部哲也)