7月11日

消耗クロアチア、モドリッチ気勢 連続PK戦 回復努める

 クロアチアは決勝トーナメント1回戦、準々決勝ともにPK戦を制して4強入りした。強運と勝負強さを示した一方、過密日程で連続して延長まで戦った心身の消耗は懸念材料。中3日で迎える11日(日本時間12日未明)のイングランド戦に向け、ダリッチ監督は「リフレッシュさせなければ」と選手の回復に努めている。

 1−1で120分を終えたデンマーク戦は、PK戦でGKスバシッチが3本も止める大活躍。続く開催国ロシアとの準々決勝は2点ずつ取り合う激戦で力を出し切った。司令塔のモドリッチは終盤、体にむちを打つように縦への仕掛けを繰り返し、PK戦では鋭いキックで相手GKの手をはじいてねじ込んだ。

 イングランドも決勝トーナメント1回戦はPK戦にもつれ込んだが、準々決勝は90分で決着をつけた。ここまで、クロアチアは相手よりも「30分」多く走ったことになる。

 過去のW杯では、1990年イタリア大会のアルゼンチンが準々決勝と準決勝の2試合連続でPK勝ちした例がある。この時はマラドーナを中心に2連覇を狙ったが、決勝は西ドイツに0−1で敗れた。疲労の影響がなかったとは言えないだろう。

 クロアチアは不利な状況をはねのけ、初の決勝進出を果たせるか。右サイドバックのブルサリコがロシア戦で負傷するなどチーム状態は万全ではないが、ダリッチ監督は「W杯では全ての試合が五分五分の勝負になる」と強気を貫く。モドリッチは「難しい試合になるが、しっかり準備したい」と気持ちを奮い立たせた。 (共同)

◆欧州CLとの2冠狙う

 20年ぶりにベスト4入りしたクロアチアのモドリッチが「ダブル優勝」の偉業を目指す。レアル・マドリード(スペイン)で欧州チャンピオンズリーグ(CL)を制しており、同じ年にW杯優勝のピッチにも立てば2002年の元ブラジル代表DFロベルトカルロス(当時Rマドリード)以来となる。

 クラブと代表で背番号10を託されて司令塔として攻撃のタクトを振り、今大会はアルゼンチン戦の強烈なミドルシュートなど2得点。躍進の原動力となっている主将は「大きなことを成し遂げたい」と頂点を見据える。

 W杯とCLの2冠を達成すれば、ロナルド(ポルトガル)とメッシ(アルゼンチン)の牙城が11年ぶりに破られるかもしれない。08年から2人が独占してきたフランス・フットボール誌の年間最優秀選手「バロンドール」の最有力候補に、32歳のモドリッチが挙がるとみられている。

 ゴールに絡む派手なプレーよりも、試合のリズムをつくる玄人好みのMFは「個人賞のことは考えていない。重要なのはチームの成功」と謙遜するが、周囲の期待は高い。1998年W杯得点王に輝いたクロアチア・サッカー連盟のシュケル会長は「私に投票権があれば迷わずモドリッチに入れる」と後輩を後押ししている。(サンクトペテルブルク・共同)

中日新聞 東京新聞

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