7月11日

猛進イングランド、22歳逸材アリ セットプレーに自信

準々決勝のスウェーデン戦で攻め込むアリ=7日、サマラで(ゲッティ・共同)

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 28年ぶりにベスト4入りしたイングランドが全11点中8点をセットプレーで量産している。PKで3点、CKから2点を決めて得点ランク首位の6ゴールを挙げているケーンは「練習でたくさん取り組んでいるので、成果が出るのはうれしい」と手応えを口にする。

 CKでは長身のストーンズ、マグワイア、ケーンらがペナルティーエリアの端に並び、蹴る瞬間に一斉に動いてマークを外す。パターンを変えながら相手に読ませない形で4点を決め、混乱した相手にケーンが倒されて2度もPKを獲得した。

 作戦を担当するラッセル・コーチは主にスコットランドの下部リーグを転々とした無名選手だったが、攻撃に特化した指導で名を広めた異色の経歴を持つ。ケーンは「僕らトップ選手が技術を教わる必要はない。それより相手の弱点など細かいヒントを与えてくれる」と効果を説明する。

 サウスゲート監督は「試合内容に関係なく、攻守とも勝負の鍵を握る」とセットプレーを重視し、米プロフットボールNFLなど他競技の動きも参考にしてきた。キッカーを務めるトリッピアーは「タイミングを合わせることだけに集中している」と味方の動きを信じてゴール前へ蹴り込む。

 「サッカーの母国」の快進撃を支える新たな武器。優勝した1966年大会以来の決勝進出が懸かるクロアチアとの一戦でも威力を発揮するか。 (共同)

◆4強貢献 中盤で存在感

 若手中心の構成で躍進を続けるイングランドの中盤で、22歳のアリが存在感を増している。準々決勝では後半14分、右のリンガードからの柔らかいクロスを、強烈なヘディングで決めてスウェーデンを突き放した。今大会初ゴールで28年ぶりの4強進出に大きく貢献し「準決勝に行くぞ。次はモスクワだ」と、興奮気味にツイッターに投稿した。

 BBC放送(電子版)によると、W杯で22歳87日での得点は、1998年大会に18歳190日でゴールを挙げ「ワンダーボーイ」と呼ばれたオーウェンに次ぐイングランドで2番目の若さ。トットナムでポチェッティーノ監督の下で頭角を現し、2015年に19歳でプレミアリーグにデビューすると、直後には代表にも招集されてトップ選手へと駆け上がった。

 巧みなボール扱いとスルーパスで好機を演出し、非凡なゴールセンスも兼ね備える。長年イングランドの中盤を支えたジェラードやランパードの後継者とも目される次代を担う逸材だ。今大会は1次リーグ2試合を太ももの張りで欠場したが、「自信は十分にある。何かを変えてみせる」と戦列に戻り、有言実行のプレーを披露している。

 子どものころ、W杯の勝利を祝って街中で旗をはためかせて走る車や、庭に出て盛り上がる人々の姿を見た記憶が強く残っており、以来、この大舞台に立つことを夢見てきたという。「われわれには有能な監督と野心的な若い選手がいる。このトーナメントで成功する自信はある」。周囲の期待が低かった大会前に語っていた力強い言葉を、見事に実現させつつある。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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