7月10日
<オンサイド>「空中デュエル」の手本
すさまじい空中戦を制したのはイングランドだった。
ともに長身のFW、DFを並べたスウェーデンとイングランド。スウェーデンは自陣から最前線のオルソンを目がけてロングボールを入れ、その落としを拾って攻撃を展開しようとする。一方のイングランドは、この試合で最も小柄だった170センチのスターリングがドリブルで打開して左右両翼を使い、クロスで勝負しようとする。
ロングボールを味方に落とそうとするFWと、それを絶対に阻止しようとするDFの戦いは迫力満点。ともに一歩も引かぬ「空中デュエル」は、体と体がぶつかる音が聞こえてきそうだった。
だがこの戦いで凱歌(がいか)を上げたのはイングランドだった。前半30分にはヤングの左CKを193センチのマグワイアが豪快に決め、後半14分にはリンガードが右から入れたところを今度はアリが左ポスト前からゴールに送り込んだ。
両ゴール前やFW対DFのヘディング争いは、もちろん見応えがあったが、中盤の選手がヘディングできちんとつなぐ技術にも感心した。「ヘディングの文化」さえ感じた両チームの戦いは、ともすればヘディングを軽視しがちな日本のサッカーへの重要なお手本になったはずだ。(サマラ・大住良之=サッカージャーナリスト)

