ベルギーとフランスが準々決勝を勝ち上がり、１０日（日本時間１１日）の準決勝で激突することになった。ベルギーは６度目の優勝を狙うブラジルを２−１で撃破。フランスはウルグアイを２−０で破った。欧州勢４強独占は２００６年大会以来。

　　　　　◇

　赤い悪魔の速攻が王国ブラジルを沈めた。１−０で迎えた３１分。ベルギーは決勝トーナメント１回戦・日本戦で“さよなら弾”となったロングカウンターを再発動した。右ＣＫをＭＦフェライニがクリア。ＦＷルカクが拾うと一気にギアを入れた。反転して４０メートルをドリブル。迫力満点の突進からラストパスを送った。

　右サイドを疾走したＭＦデブルイネが正確無比な右足を振り抜く。「スペースを見つけ、うまく打てた。長い距離を走って相手に問題を起こせた。素晴らしいよ」。糸を引くように真っすぐに伸びた弾道は、約２０メートル先の逆サイドネットに突き刺さった。スタジアムの大半を占めた黄色いユニホームが固まった。ブラジルから５５年ぶり勝利をわしづかみにした瞬間だった。

　デブルイネは今季プレミアリーグでアシスト王を獲得するなど正確なキックを武器にする。今大会はボランチでの出場が主だったが、この日はトップ下に上がってルカク、Ｅ・アザールの３人で攻撃を仕掛けた。２７歳の司令塔は「どこでプレーしても集中するだけ」と涼しい顔。後半はブラジルの猛攻を受けたが、１失点でしのぎきった。「最後の１５分は僕らの格を試すテストだった」。シーフォを擁した８６年Ｗ杯メキシコ大会以来３２年ぶり４強入りを決めた。

　１９９１年生まれのデブルイネ、Ｅ・アザールらは黄金世代と呼ばれる。今大会４試合１失点のブラジルから１試合で２点を奪う攻撃力を見せつけた。今大会１００人目のゴールを決めた２７歳は「僕らはすべてにトライした。ベスト４はうれしい。言葉にならないし、決勝行きたい。優勝するためにここに来た」と言い切った。公式戦２４戦連続無敗の「赤い悪魔」が初優勝を視界に捉えた。　（占部哲也）