7月8日
さらばネイマール
敗戦が決まると、ネイマールはカナリア色のユニホームで顔を覆い、涙を隠した。ほかのブラジルの選手たちも、ピッチに座り込み、力尽きた様子だった。史上最強と言われ、優勝候補に挙げられていたが、南米最後の砦があっさり崩れた。
2016年6月の就任以来、公式戦初黒星を喫したチチ監督は「ブラジルはボールを支配した。26本シュートを放ち、9本もゴール枠をとらえた。だがベルギーが、効率よくチャンスをものにした」と悔しさをあらわにした。
前半に2失点すると、後半頭からフィルミノを投入し、猛攻を仕掛けたが、決定機をほとんど作れない。ブラジルらしいプレーは、後半31分にコウチーニョのループパスを途中出場のレナトアウグストが頭で決めたゴールだけ。頼みのネイマールは2人、3人に囲い込まれ、いいところがない。終盤は故意に倒れ込むプレーでPKやFKをもらおうとしたが、主審は認めなかった。結局、ネイマールは今大会2得点止まり。故意に倒れる「ダイバー」という悪名が定着した大会になった。
マルセロは「本当にひどい夜だ。傷ついた。ピッチで何が起こったのか、説明するのは難しい。結果だけがついてこなかった。サッカーは時として、不公平だ」と目を真っ赤にして振り返った。王国のおごりと余裕が、その行く手を阻んだ。 (原田公樹)
