7月7日
<オンサイド>敗れてもブラジルは偉大
ブラジル−ベルギー 後半31分、ゴールを決めガッツポーズするブラジルのレナトアウグスト(手前)=カザンで(共同) |
![]() |
試合ごとに安定感が増し、決勝トーナメント1回戦でメキシコを2−0で下すと、一気に決勝まで突っ走るかと思われたブラジル。だが、ベルギー戦は相手の鋭いカウンターに苦しめられた。
前半13分にオウンゴールで先制を許した後の同31分、CKから一転、逆襲されて2点目を献上。攻撃ではネイマールが接触プレーのたびに派手に転び回ったがファウルは、ほとんど取ってもらえなかった。26本のシュートも、半数近くがベルギーのブロックに止められた。
4年前は準決勝でドイツに1−7と屈辱の大敗。2016年のチチ監督就任以降は南米予選を圧倒的な強さで突破すると、その後の親善試合も負け知らずで、堅守から2失点したことさえなかった。ネイマールら攻撃のスター選手だけでなく、チーム戦術の浸透、何より攻守の切り替えの速さと献身的な守備は、これまでのイメージを一新。今大会は優勝候補に挙がっていたが、またも散った。
「負けたが偉大な試合だった。サッカー好きの人なら、『ジョゴ・ボニート(美しい試合)』と言うだろう」。厳格さと選手たちへの愛情を併せ持ち、ブラジルサッカー史上、まれに見るチームプレーを築き上げたチチ監督。ブラジル人よ胸を張れ、とばかりに語った。 (カザン・大住良之=サッカージャーナリスト)

