7月6日

西野監督退任 帰国会見

記者会見するサッカー日本代表の西野監督(右)と長谷部=千葉県成田市で

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 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で2大会ぶり3度目のベスト16となった日本代表が5日、帰国した。千葉県成田市内のホテルで記者会見した日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、日本を率いた西野朗監督が7月末の任期満了で退任すると明かした。

 田嶋会長は「監督をお願いする時、結果がどうであれこの大会で終わると約束した。その約束はしっかり守りたい。慰留はしなかった。また違う形で日本サッカーに貢献しサポートしていただければ」と説明。前監督の解任に伴い4月に急きょ就任した西野監督は会見で「この任を受けた瞬間から、W杯終了までという気持ちだけでやってきた」と述べた。日本協会は次回2022年カタール大会を見据えた次期監督の選定人事に本格着手する。

 今大会の日本は初の8強入りをかけた決勝トーナメント1回戦でベルギーに衝撃的な逆転負けを喫した。西野監督は試合後の胸中を「選手たちには『ベルギー戦が終わった後に倒れこんで背中に感じた芝生の感触、見上げた空の色は忘れるな』と言った。あの悔しさは僕自身も感じたことがない」と明かした。 (唐沢裕亮)

◆最大のチャレンジ尽くした 一問一答

 西野監督は、大会中の会見では不慣れだった同時通訳機のイヤホンを不要とする日本での会見に「安心してしゃべれます」と冗談を口にするなど、穏やかな表情を浮かべながらW杯を振り返った。

 −大会を終えて。

 「W杯の1ゴール、ワンプレーは本当に厳しい。1次リーグを突破すること、決勝トーナメントを勝ち上がることの厳しさを知らされたが、選手たちはたくましく戦ってくれた」

 −帰国時にファン、サポーターの歓迎を受けた。

 「大きな成果を上げてきたわけではないが、本当に最大のチャレンジを出し尽くした選手たちの姿がロシアにあった。結果だけではない戦いぶりを皆さんに伝えられたのかなと」

 −逆転負けを喫したベルギー戦の直後、「何が足りないんでしょうね」と振り返っていた。

 「何が足りないかと自問していた。こういうときにどういう感覚が働くのがいいのか。1次リーグの3戦目(ポーランド戦)の最後の10分間(のボール回し)もあるが、チームが一つになっていく方向性を出せるのは本当に一瞬。それができなかったベルギーの残り時間に対して何が足りなかったのかという気持ちで、自分に対しての言葉だった」

 −4年後のカタール大会に向けて日本協会に伝えたいこと。

 「代表チームが爆発的に成長することはない。今、日本の世代別代表は本当に期待できる。20歳以下、17歳以下では世界で渡り合える力を持っている。4年後に(8強の壁を越えられる)と漠然と言っているのではない。スケールの大きいダイナミックかつ日本人らしいボールを使ったサッカーができるような育成に、さらに(磨きを)かけていく必要がある」

◆長谷部「すごい喪失感」

 代表引退を表明している主将の長谷部は記者会見で、長年招集されてきた代表を自ら離れる心境を「本当に喪失感がすごい」と口にした。

 寂しそうな表情を浮かべながら、「12、13年間日本代表としてプレーして、この会見が終わったら日本代表としての公式的なものは終わり。帰りの飛行機でも窓から外を見ながら感傷に浸っていた」。

 大会前は周囲の期待が低かった中での16強入り。「この雰囲気をひっくり返すぞとチームで話し合っていた。その思いが強かった分、期待を取り戻せた。皆さんの厳しい言葉がチームの力になった」と反骨心があったことを明かした。

 「無関心が一番怖いと思っていたが、W杯で日本の皆さんの関心を集められた」と安堵(あんど)した34歳。最後までキャプテンらしくサッカー界全体の発展に気持ちを寄せ、「引き続き代表だけでなく日本サッカー界に関心をもってほしい」と呼び掛けた。

中日新聞 東京新聞

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