7月3日

<オンサイド>1000本超のパス回しも「想定内」

 「PKに嫌われた」形で、2大会ぶりの優勝を目指したスペインが姿を消した。延長の末のPK戦で敗れた結果だけではない。ロシアのジュバのヘディングがピケの手に当たってPKとなり、前半41分に追い付かれた。延長後半9分には、スペインのFK時にピケとセルヒオラモスがそれぞれ相手につかみ倒されたにもかかわらず、ビデオ判定でもPKは与えられなかった。

 スペインは総パス数1137本のうち91%を成功させた。シュート数はロシアの6本に対し、スペインは25本。ボール保持率もスペインが74%とロシアを圧倒した。だが、何とか打開しようとするうちに120分間が過ぎていく。

 今大会のスペインは、攻撃時の「変化」が乏しい。パスは通っても、止めてはつなぐ形ばかり。ワンタッチなどの変化、受けるために動く選手の変化などがない。対するロシアは、試合の大半を5−4−1のシステムで戦い、特に両サイドでスペインに自由にプレーさせなかった。

 スペインの攻撃がロシアにとって「予想外」と映った場面は、数度しかなかったことだろう。ロシアが勝つべくして勝ったわけではない。しかし、スペインは負けるべくして負けた。 (モスクワ・大住良之=サッカージャーナリスト)

中日新聞 東京新聞

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