7月3日

原口、勢い呼んだW杯初ゴール

 ベルギーを追い詰める攻撃の合図を鳴らしたのは原口だった。苦しい前半を耐えて迎えた後半の立ち上がり、待望の先制点をもたらすと、スタジアムにどよめきと歓声が渦巻いた。「しんどかったが粘って粘って。自分の良さが出た」。がむしゃらに走り、自身のW杯初ゴールでチームを勢いづけた。

 秀逸なフリーランニングとフェイントが光ったシュートだった。右サイドでベルギーDFフェルトンゲンの背後に飛び出し、柴崎の絶妙なスルーパスを受けた。ペナルティーエリア内で、中へ切り返すと見せかけてから右足でゴール左隅へ突き刺した。

 ベルギーは3バック。両サイドが空きがちな守備の弱点を突き、「狙い通りの形だった」。笑顔でベンチ前に駆け寄ると、歓喜の輪の中でもみくちゃにされた。

 豊富な運動量を買われ、今大会は攻守のバランスを取りながら、ピッチを盛んに上下動する右サイドで起用された。本来は左サイドから鋭くドリブルで切り込む攻撃が持ち味。「感覚が違う部分がある」と煮え切らない思いも抱いていた。そんな葛藤を振り切れたのは、先発落ちした本田の助言があったからだという。「狙い続けなければ得点は入らない」。どんな役割でも努力次第で結果は出せることを教えられ、原口は「左で思い切り勝負したかったが、(右でも)出し切れたと思う」。迷いを捨てて完全燃焼した。

 27歳で挑んだ初のW杯。終盤に世界の本当の強さを目の当たりにした。「力の差はある」と認めつつ、「楽しかった。4年後、もう一つ上にいけるようにやりたい」と次なる挑戦を見据えた。 (対比地貴浩)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索