7月3日
変化なき艦隊 失った美 迫られる世代交代
PK戦の末にロシアに敗れ、引き揚げるスペインのイニエスタ(右)。代表引退を表明した=AP・共同 |
![]() |
歓喜に沸き返るルジニキ競技場のピッチに、スペインの選手たちはただ静かに立ち尽くした。2010年大会の優勝国は、1次リーグで敗退した前回大会に続き、今回も不本意な幕引きとなった。屋台骨を支えてきた選手はピークを過ぎ、一つの時代の終わりを感じさせた。
イエロ監督は「8年前のスペインは、それまでになかったようなサッカーを見せた。しかしW杯の傾向はすっかり変わった」と言う。当時「ティキタカ」と呼ばれた細かく、流麗なパス回しで相手を崩したスタイルは世界から称賛を浴びた。
しかし、今大会は守りを固めてカウンター攻撃を狙うチームが格上を苦しめる展開が目立つ。この日、スペインもロシアの術中にはまった。
攻撃的MFのシルバが32歳。センターバックでコンビを組むセルヒオラモスは32歳で、ピケは31歳となった。34歳のイニエスタはこの試合を最後に代表引退を表明した。今後は世代交代も迫られるが、イエロ監督はきっぱりと言った。「スペインにはアイデンティティーがある。それは変わらない」。望んだ結果を手にできなかったが、パスサッカーへの信念は受け継がれる。 (モスクワ・共同)

