7月2日

西野J、史上初の8強挑戦 奇跡起こせ

 【ロストフナドヌー(ロシア)本紙取材団】日本は2日(日本時間3日午前3時開始)、史上初の8強入りを懸け、当地でベルギーと対戦する。ベルギーはFWルカク、MFのE・アザールを筆頭に欧州各国リーグで活躍するスター軍団。その格差は各選手の市場価値だけを見ても激しいが、一発勝負の決勝トーナメントでは時に大番狂わせも起こる。日本は1次リーグ最終戦で先発6人を入れ替えるなど、主力を休ませたことで万全の状態。22年前に「マイアミの奇跡」を起こした西野朗監督(63)に率いられ、日本が再び奇跡を起こす。

 格上のベルギー打倒に向け、西野監督は考え得る全ての準備を終えた。

 16強以降の戦いを見越し、1次L最終戦・ポーランド戦(6月28日)では、リスク承知で先発メンバーを大幅に入れ替えた。“ターンオーバー制”というサッカー大国のような采配は過去から学んだ。

 「今まで2回(16強に進んだ2002年と10年のW杯)は(1次Lで力を)出し尽くした中で勝ち上がった。(決勝Tは)精神面で、違う形で臨まなきゃいけない」

 02年のトルシエ・ジャパン、10年の岡田ジャパンとも1次Lでメンバーをほぼ固定。トルシエ監督は1戦目と2戦目、3戦目と4戦目で2人ずつを入れ替えたが、岡田監督は全4試合を全く同じメンバーで戦った。余力はなく、ともに決勝T1回戦で力尽きた。

 西野監督は同じ轍(てつ)を踏まない。1次L2戦を終えて勝ち点4が稼げたというアドバンテージを生かし、ポーランド戦ではスタメンを6人も入れ替えた。試合に敗れ、最後は他会場の結果待ちという薄氷を踏む思いでの勝ち上がりとなったが、賭けに勝ったことの報酬は少なくない。

 試合開始時の気温は35度前後。「あの暑い中で休めたことは大きいと思う」と途中出場で25分間のプレーにとどまった乾は大幅な疲労回復を強調した。

 出番がなく、くすぶっていた選手がW杯の大舞台を踏んだこともプラス材料。ポーランド戦で初めて出場した槙野は「控え組の選手たちが躍動した。みんなが『チームのために』という雰囲気になり、次のステージに進む良いきっかけになった」とチームとしての一体感はより増した。

 ベルギーも1次L第2戦と第3戦で先発を9人入れ替えているが、少なくとも日本は疲弊していない。

 西野監督は1996年アトランタ五輪で優勝候補のブラジルを破った“マイアミの奇跡”で知られる。やるべきことはやった。格下が格上を破る、ジャイアント・キリング、奇跡再びに向け、機は熟した。(垣見洋樹)

中スポ 東京中日スポーツ

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